2003.11.13

血漿アディポネクチン濃度の高さが心筋梗塞発症のリスク低下と関連

 血中アディポネクチンは、動物実験の結果などから、インスリン抵抗性や動脈硬化の改善に関与することが知られている。今回、医療関係者を対象とした大規模コホートスタディの結果から、血漿アディポネクチン濃度が男性の心筋梗塞発症リスク低下と関連があることが明らかになった。11月11日のポスターセッション「Cardiovascular Calcification / Lipid Metabolism」で、米Harvard大学公衆衛生校のTobias Pischon氏が報告した。

 Pischon氏らの研究グループは、米国の医療関係者を対象に実施されたHealth Professionals Follow-up Studyの参加者のうち、1994年に血液サンプルを供出した1万8130人を6年間追跡し、心筋梗塞を発症した生存者と冠動脈性疾患の死亡者計266人に対してネスト症例対照研究を実施した。対照群は年齢、血液採取の日、喫煙状況を一致させ、症例群の2倍の人数を選択した。

 両群を比較したところ、症例群では血漿アディポネクチン濃度が平均15.6mg/Lだったの対し、対照群では17.9 mg/Lと症例群では有意に低かった。症例群では、このほか、糖尿病、高血圧、血中総コレステロール、LDL-C、HDL-C、血清総脂質、HbA1cが有意に高かった。

 血漿アディポネクチン濃度で症例群と対照群を5群に分け、アディポネクチン濃度が最も低い群を1とした相対危険度を求めると、次に濃度が低い第2群の相対危険度が0.7だった。以下、3群が0.6、4群が0.6、最もアディポネクチン濃度が高い5群の相対危険度は0.4で、いずれも有意に相対危険度が低く、濃度が高いほどリスクが低い傾向が見られた。アディポネクチン濃度が2倍になった時には相対危険度は0.67とほぼ3分の2に有意に下がることが分かった。BMI、心筋梗塞の家族歴、糖尿病、血液検査データなどで修正しても有意差があり、アディポネクチンの血漿中濃度が、ほかのパラメータとは独立した心筋梗塞の予測因子になり得ることが判明した。

 国内では、動物実験ではあるが、in vivoでアデノウイルスベクターによって血漿アディポネクチン濃度が大幅に高める研究も進められている。今回の研究は今後、心血管疾患治療へのアディポネクチン導入に期待を持たせる研究成果と言えそうだ。(中沢真也)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. マッチング最終結果、市中病院人気が再び加速 【2017年度】フルマッチ校は11校、東京医科歯科大は5年連続 FBシェア数:211
  2. ベルソムラは就寝前に飲んじゃダメ!? セキララ告白!個別指導 FBシェア数:109
  3. 国内初の『慢性便秘症診療GL』の特徴は? 学会トピック◎JDDW2017 FBシェア数:107
  4. ベンゾジアゼピンの処方は市中肺炎のリスク Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ FBシェア数:140
  5. 「病院⇒介護医療院」の転換、10万床規模にも 日経ヘルスケアon the web FBシェア数:57
  6. 「医療訴訟がとにかく怖いんです!」 研修医のための人生ライフ向上塾! FBシェア数:19
  7. 外科医は短気だから短期トレードで損を出す? Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」 FBシェア数:0
  8. 高齢でもピロリ除菌を行うべきもう1つの理由 リポート◎ピロリ除菌の目的は胃癌発症抑制と潰瘍予防だけじゃない! FBシェア数:48
  9. 動脈硬化は朝食をとらない人に多い J Am Coll Cardiol誌から FBシェア数:168
  10. キャラクターで抗菌薬を覚える!? 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:67