2003.11.12

【AHA2003速報】 シロリムス溶出ステント「SIRIUS」の2年成績が発表、2年後も予後改善効果が継続

 細胞増殖抑制効果を持つシロリムス(ラパマイシン)を塗布した、薬剤溶出ステント「CYPHER」の臨床試験「SIRIUS」(a U.S. multicenter,randomized double-blind study of the SIRolImUS-eluting stent in de novo native coronary lesions、関連トピックス参照)参加者の長期追跡結果が、11月11日の一般口演「Drug-Eluting Stents: Clinical Trials and"Real World" Registries」で報告された。今回発表されたのは、参加者の2年追跡成績。同試験で示された、9カ月後の複合イベント(MACE)抑制効果は、2年後も維持されていることが確認された。

 対象は、狭心症と心筋虚血があり、介入対象の冠動脈狭窄部位(初発病変に限る)の病変長が15〜30mmの1058人。平均年齢は62歳、7割が男性で、7割に高血圧、4分の1に糖尿病、4分の3に高脂血症がある。4割が多枝病変で、介入病変のある冠動脈径は平均2.80mm、病変長は平均14.4mmだった。無作為に2群に分け、シロリムス溶出ステントまたは普通のステント(ベアステント)を留置して、予後を比較した。

 1次評価項目は、介入9カ月後の標的血管治療失敗率(TVF;Target Vessel Failure)。この試験では、標的血管に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の再施行(TVR)と、標的血管に起因する心筋梗塞(MI)または心死亡の総計をTVFと定義しているが、TVFの発生率はシロリムス溶出ステント群(533人)が8.8%、ベアステント群(525人)が21.0%で、相対的に58%、TVF発生率が抑制されることが示された(p<0.001)。

 2次評価項目の「介入9カ月後のMACE」は、総死亡+MI(標的血管か否かによらない)+標的領域への再灌流療法の再施行(TLR:PCIだけでなく冠動脈バイパス術=CABG施行例も含む)。臨床的にはより重要な評価項目だが、これもシロリムス溶出ステント群で有意に低かった(7.1%対18.9%、p<0.001)。ただし、MACEを構成する個別の項目では、死亡やMIに有意差はなく、効果は主にTLRの抑制を介するものだった。

 今回発表された2年成績は、追跡可能だった患者を対象としたもの。補足率はシロリムス溶出ステント群が88.7%(478人)、ベアステント群が86.9%(466人)。2年後までのTVFは、順に13.0%、26.6%で、シロリムス溶出ステント群で有意に低かった(p<0.001)。MACEの2年発生率も10.9%対24.2%でシロリムス溶出ステント群が勝っていた(p<0.001)。構成要素別では死亡(2.3%対1.5%)、MI(4.0%対3.9%)に有意差はなく、TLRの抑制効果が継続していることが確かめられた(6.3%対21.0%、p<0.001)。

ステント内血栓症の発生率、「SIRIUS」試験ではベアステントと差なし

 結果を発表した米国LindnerセンターのDean J. Kereiakes氏は「シロリムス溶出ステントのTVF、MACE抑制効果は、少なくとも2年間は継続することが確認された」と総括したが、発表後の質疑応答では、米国などで相当数が発生、米国食品医薬品局(FDA)が副作用報告を呼びかけた(関連トピックス参照)「ステント留置後の血栓症」に関する質問が相次いだ。

 「SIRIUS」試験では血栓症の発生は極めてまれで、今回発表された2年成績でも、ステント内血栓症はシロリムス溶出ステント群の3人(0.6%)、ベアステント群の4人(0.8%)にしか確認されていない。同時に提示された1年成績(今年3月の米国心臓学会=ACCで発表)でも、順に二人(0.4%)、4人(0.8%)で、「ステント内血栓症の発生率にはベアステントとの差はない」とKereiakes氏は強調する。

 ただし、シロリムスは試験管内実験で血小板作動物質の作用を高め得ることが示されており、特に早期は抗血小板療法の併用が不可欠。Kereiakes氏は「臨床使用では二人、血栓症を経験したが、いずれも抗血小板薬の服用を勝手に止めたケースだった。(シロリムス溶出ステントを留置する際は)患者教育を十分に行う必要があり、その必要性を医師も認識しなければならない」と述べた。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.10.3 薬剤溶出ステントの大規模試験「SIRIUS」が待望の論文化、患者背景に拠らず再狭窄を抑制
◆ 2003.11.6 シロリムス溶出ステント「CYPHER」で副作用関連死60例が報告、FDAが医師・患者に副作用報告を呼びかけ

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