2003.11.12

【AHA2003速報】 PTCA/ステントと運動療法の比較介入試験、2年間のイベント無し生存率で運動療法に軍配

 症状が安定している冠動脈疾患の患者を対象に、標準的な治療法であるPTCA/ステント療法と運動療法の無作為割り付け介入試験を実施し、2年後の時点で、入院やPCI、死亡などのイベントがない患者の比率(イベント無し生存率)を比較したところ、PTCA/ステント群では58%だったのに対して、運動療法群は76%と大きな差(p<0.05)がついた。ドイツにおける研究で、Leipzig大学循環器科のClaudia Walther氏が11月11日のポスターセッション「Risk Stratification in ACS」で発表した。

 介入試験はまず1年間実施され、さらに1年間のフォローアップが行われた。70歳以下の男性が対象で、患者は十分な同意を得た上で参加し、PTCA/ステント治療か運動療法のいずれかに無作為に割り付けられた。1年以内に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)や冠状動脈バイパス手術(CABG)を実施している場合、3カ月以内に心筋梗塞の発作を起こしている場合には排除基準によって試験から排除された。

 介入開始時点では、運動療法群は51人、PTCA/ステント群は50人、2年間のフォローアップを終了したのは、運動療法群が34人、PTCA/ステント群は27人だった。

 運動療法群は、まず入院して1日6回、各10分間ずつ、最大心拍数の70%でエルゴメーターで運動を2週間行う導入エクササイズを実施する。退院後は自宅でエルゴメーターを利用して、目標心拍数で最低20分間、1日2回の運動を行う。さらに週1回、指導者のもとでトレーニングを実施する。

 2年間の介入試験の結果、両群とも試験開始時に比べて症状が軽快する傾向が見られたが、イベントがない状態の患者比率は、76%対58%で運動療法群に有意に多かった。運動療法群では入院が3件、PCIが7件など、12人で16件発生した。これに対して、PTCA/ステント群では、入院が10件、PCIが16件(うち2件が再狭窄)など21人で33件と多かった。

 介入後の両群の顕著な違いは、最大酸素摂取量に表れた。PTCA/ステント群では2年間のフォローアップ後、開始時点の21ml/min・kg前後よりもやや増加して22ml/min・kg程度だったのに対し、運動療法群では、開始当初の23ml/min・kg程度から27ml/min・kg程度へと大幅、かつ有意に増加した。

 今後、さらに長期予後の確認が望まれるが、侵襲が極めて低い治療である運動療法で、少なくともPTCA/ステント療法と同等以上のQOLを2年間維持できることが示されたことは、冠動脈疾患の患者にとって朗報であることはもちろん、医療費削減の有力な手段と見ることができそうだ。本試験は現在もフォローアップを継続中だが、特に運動療法群は介入継続の希望が強かったという。(中沢真也)

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.3.22 ACC '02速報】
安定狭心症患者の脳心事故、運動療法でPCIより低減

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.9.9 日本心臓病学会速報】
厳格な生活指導がステント留置後のエッジ再狭窄を抑制、観察研究で示唆

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