2003.11.12

【AHA2003速報】 血漿アディポネクチン濃度の高さが心筋梗塞発症のリスク低下と関連

 血中アディポネクチンは、動物実験の結果などから、インスリン抵抗性や動脈硬化の改善に関与することが知られている。今回、医療関係者を対象とした大規模コホートスタディの結果から、血漿アディポネクチン濃度が男性の心筋梗塞発症リスク低下と関連があることが明らかになった。11月11日のポスターセッション「Cardiovascular Calcification / Lipid Metabolism」で、米Harvard大学公衆衛生校のTobias Pischon氏が報告した。

 Pischon氏らの研究グループは、米国の医療関係者を対象に実施されたHealth Professionals Follow-up Studyの参加者のうち、1994年に血液サンプルを供出した1万8130人を6年間追跡し、心筋梗塞を発症した生存者と冠動脈性疾患の死亡者計266人に対してネスト症例対照研究を実施した。対照群は年齢、血液採取の日、喫煙状況を一致させ、症例群の2倍の人数を選択した。

 両群を比較したところ、症例群では血漿アディポネクチン濃度が平均15.6mg/Lだったの対し、対照群では17.9 mg/Lと症例群では有意に低かった。症例群では、このほか、糖尿病、高血圧、血中総コレステロール、LDL-C、HDL-C、血清総脂質、HbA1cが有意に高かった。

 血漿アディポネクチン濃度で症例群と対照群を5群に分け、アディポネクチン濃度が最も低い群を1とした相対危険度を求めると、次に濃度が低い第2群の相対危険度が0.7だった。以下、3群が0.6、4群が0.6、最もアディポネクチン濃度が高い5群の相対危険度は0.4で、いずれも有意に相対危険度が低く、濃度が高いほどリスクが低い傾向が見られた。アディポネクチン濃度が2倍になった時には相対危険度は0.67とほぼ3分の2に有意に下がることが分かった。BMI、心筋梗塞の家族歴、糖尿病、血液検査データなどで修正しても有意差があり、アディポネクチンの血漿中濃度が、ほかのパラメータとは独立した心筋梗塞の予測因子になり得ることが判明した。

 国内では、動物実験ではあるが、in vivoでアデノウイルスベクターによって血漿アディポネクチン濃度が大幅に高める研究も進められている。今回の研究は今後、心血管疾患治療へのアディポネクチン導入に期待を持たせる研究成果と言えそうだ。(中沢真也)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. アルツハイマー治療薬開発が進まない理由 理化学研究所神経蛋白制御研究チームシニア・チームリーダーの西道隆臣氏に聞く FBシェア数:172
  2. 57歳男性。両下腿から足背の浮腫と紫斑 日経メディクイズ●皮膚 FBシェア数:0
  3. 75歳女性。構音障害、左共同偏視 日経メディクイズ●心電図 FBシェア数:0
  4. JCHO東京高輪病院で感染症内科医7人一斉退職 2017年4月から、ほぼ全科で土曜休診に FBシェア数:648
  5. コデイン類含有製剤、12歳未満は禁忌に まずは「重要な基本的注意」で注意喚起、2019年から全面禁忌 FBシェア数:292
  6. 酸素療法で飛んで行ったメガネ 倉原優の「こちら呼吸器病棟」 FBシェア数:101
  7. 広がる中学生のピロリ検診・除菌 ニュース追跡◎エビデンス乏しく副作用の懸念も FBシェア数:547
  8. 「救急医にはアイデンティティーがない」の呪い 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:69
  9. 末梢神経障害へのエパルレスタットに要注意 セキララ告白!個別指導 FBシェア数:74
  10. なんでこんな検査を定期健診に入れている? 記者の眼 FBシェア数:217