2003.11.12

慢性心不全患者の入院は死亡リスクを2〜3倍に高める

 心不全は予後不良の疾患であり、死亡率が高いだけでなく症状増悪にともなう再入院も高頻度にみられる。このため、通常、心不全治療試験では観察期間中の入院も評価項目に加えられるが、入院後の死亡リスクを検討した成績は少ない。Val-HeFT(Valsartan Heart Failure Trial)は慢性心不全患者を対象にアンジオテンシン2拮抗薬の有用性を示した大規模臨床試験だが、米国Case Western Reserve大のI Pina氏は11月9日、その観察データを再解析し、入院の死亡リスクに及ぼす影響を検討した成績を報告した。

 Val-HeFTの対象患者5010例のうち、約2年間の観察期間に入院を1回以上経験したものは50.1%、心不全による入院例は32.4%だった。対象患者を心不全増悪により入院したもの(心不全入院群)、心不全以外の原因で入院したもの(非心不全入院群)、1度も入院しなかったもの(非入院群)の3群に分けて臨床的背景因子を比較したところ、心不全入院群は他の2群に比べ、以下の特徴が認められた。すなわち、心不全入院群はより高齢(65歳以上)であり、心不全重症度が高く、虚血性心不全の頻度が低かった。また、基礎治療薬として利尿薬とジゴキシンの使用頻度が高く、β遮断薬の使用頻度が低かった。非心不全入院群は非入院群に比べ、やはり65歳以上の症例が多く、心不全もより重症だった。

 心不全入院群の死亡率は非入院群の3.3倍、非心不全入院群の1.6倍と有意に高かった(いずれもp<0001)。また非心不全入院群の死亡率も非入院群に比べ有意に高く相対リスクは2.0であった(p<0001)。

 Pina氏はこの結果にもとづき、慢性心不全患者ではいかなる原因であれ入院が死亡リスクを高めること、特に心不全増悪にともなう入院の影響の大きいことが明らかになったと述べ、入院が深刻な予後増悪因子であることを強調した。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 非医師がタトゥーを彫るのは医師法違反か 弁護医師・田邉昇の『医と法の視点』 FBシェア数:23
  2. ここまで分かった! 2018診療報酬改定の中味 日経ヘルスケアon the web FBシェア数:17
  3. 牛乳アレルギーの急速経口免疫療法で低酸素脳症 神奈川県立こども医療センターが事例報告 FBシェア数:165
  4. 抗認知症薬の使用・選択の5つの考え方 プライマリケア医のための認知症診療講座 FBシェア数:78
  5. 酒を飲んで仕事!? 待機中の飲酒はアリなのか 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:176
  6. 「早期診断が重要」って本当にできるの? プライマリケア医のための認知症診療講座 FBシェア数:9
  7. 昭和大学病院の「働き方改革」は成功するか シリーズ◎医師の「働き方改革」 FBシェア数:399
  8. いま書いてるの、もしかして「偽」の診断書? 小林米幸の外国人医療奮闘記 FBシェア数:39
  9. 「モルヒネだけは飲みたくない」への対応法 平方眞の「看取りの技術」 FBシェア数:19
  10. 人生の最期は「眠って過ごしたい」と言われたら Dr.西&Dr.宮森の「高齢者診療はエビデンスだけじゃいかんのです」 FBシェア数:182