2003.11.12

心筋梗塞後の急性期における代謝異常は予後不良の独立した予測因子

 米国では糖尿病(DM)罹患率が年々増加(1999年4.9%から2001年7.9%)している。急性心筋梗塞(AMI)患者に限れば20〜30%は既にDMを発症しており、これが予後不良の一因となる。ではMI急性期に新たにDMと診断されることは、予後にどのような影響を与えるのか。11月10日の一般口演で米国Brigham and Women's病院のDavid Aguilar氏らは、VALIANT(Valsartan in Acute Myocardial Infarction)の解析結果から、新規DMでは心血管合併症頻度が低いにもかかわらず、予後は既知DMと同等に不良であることを報告した。

 VALIANTでは、臨床あるいはX線所見で心不全の兆候あるいは左室収縮機能不全、その両方を呈することが確認された1万4703例のMI患者について、MI発症時および無作為化(中央値でMI後4.9日)に際して、DMの有無を評価している。

 Aguilar氏らは、MI発症前からのDM既往あるいはインスリン使用の3400例(23%)を既知DM、MI発症時にはDMではなかったが無作為化の時点でDMが発見されたり、DM治療を要することが明らかになった580例(4.0%)を新規DMと定義。1年後の総死亡と心血管イベント(心血管死、再梗塞、心不全、突然死からの蘇生および脳卒中)を比較した。

 その結果、新規DM患者は既知DM患者と比較して若く(63.9対66.5歳)、男性(68.4 vs 59.4%)が多く、BMIは同等(28.7対29.4%)、喫煙者(33.1対19.3%)が多かった。

 そして高血圧(54.9対70.4%)、脂質異常(21.8対42.6%)、狭心症(36.9対44.7%)、心不全の既往(9.7対22.5%)、脳卒中の既往(3.1対9.3%)などの心血管合併症頻度は低く、PCI(4.3対10.4)、CABG(3.3対11.5)の施行率も低かった。これらの特徴は、BMI(28.7対非DM27.3%)、Killipクラス>Iの割合(76.4対非DM70.4%)が高いことを除けばむしろ非DMと類似であった。 

 1年時点での死亡率/心血管イベント発症率は非DMの10.9/22.5%(1169/2413例)に対して、既知DMでは17.7/35.8%(602/1217例)、新規DMでは16.2/29.1%(94/169例)。また非DMに対する死亡/心血管イベントのハザード比は既知DM1.68/1.71、新規DM1.54/1.36で交絡因子を補正すると既知DM1.43/1.38、新規DM1.50/1.34であった。

 Aguilar氏は、新規診断、長期罹患にかかわらずAMI急性期においてDMは予後不良の独立した予測因子であると結論付けた。ただ、本研究の限界として、DM診断が血糖値ではなく個々の医師あるいは自己申告によるもので、新規DMには実際に血糖が上昇したものと単に未診断であったものが含まれることを付け加えている。

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