2003.11.11

バイタルを常時ワイヤレスでチェックできる超小型センサーユニットがお目見え

 チューインガム大の超小型ユニットを装着しておくだけで、SpO2や心拍などのバイタルサインを常時送信、ナースステーションなどでモニターできる新世代の遠隔監視システムが登場した。近い将来、センサー以外の機能は5mm角の半導体チップ1個に収まるという。病院や高齢者施設で入院・入所者の異常を即座に発見し、速やかな対処をとるには最適のシステムだ。米Harvard大学のSteve Moulton氏らが、11月8日に開催された蘇生医学シンポジウムのポスターセッションで報告した。

 患者が装着するユニットは「センサー・ノード」と呼ばれ、パソコンの中央演算処理ユニット(CPU)に相当するマイクロコントローラ、小容量のメモリー、小型の無線機能を内蔵、複数のセンサーを装着できる。全体は、「motes(小片)」、あるいは「smart dust(賢い塵)」などのニックネームが付けられている。無線の到達距離は100m程度なので、病院内や施設内における利用に適している。

 Harvard大学とIntel社が共同開発したセンサー・ノードの試作機「MICA」は、6×3cmとチューインガムの大きめのパック程度のサイズに、8ビットのマイクロコントローラ、132Kバイトの主メモリーと512Kバイトのフラッシュメモリー、電話回線用モデムの通信速度に近い40kビット/秒で通信可能な無線通信機能を備えており、単三型電池2本で動作する。試作機ではこれに市販のパルスオキシメトリーのモジュールを組み合わせ、酸素飽和度や心拍をリアルタイムで遠隔監視できる蘇生モニター「Vital Dust」を作成した。

 この装置を装着していれば、通常の生活を送りながら常時、センター側で酸素飽和度などを確認できるので、万一、心臓発作などを起こした場合、収容や処置を行う前に最小限のトリアージを行い、治療の準備を整えることが可能になる。

 センサー・ノードは、バイタル情報をセンターに送信するだけでなく、既往歴や現在処方されている薬剤など、装着している患者のある程度の情報を記録できるので、この技術が普及すれば、世界中どこへ行っても、緊急時などに必要な情報を読み出して適切な治療を受けられることになる。

 そうなると当然気になるのが情報のセキュリティだが、米国標準のSKIPJACKと呼ばれる暗号化技術を採用し、データ保護を実現しているという。センサー・ノードからのデータをいったんパソコンで受信すれば、より到達範囲の大きい無線LANやADSLによって、施設内の他科の診療部や遠隔地の病院などに転送することが可能だ。

 Moulton氏らは今後、直接センターと通信できない場合に、複数のノードを経由して情報を伝達できる技術の開発や、心臓発作の発生など緊急度の高い情報を優先して伝送する機能、暗号のカギを常時変化させるより強固なセキュリティの開発を目指すとしている。

 より詳細な情報は著者らのホームページで入手できる。(中沢真也)

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