2003.11.11

バルサルタンが既に急性心筋梗塞後のエビデンスの確立したカプトプリルとの非劣性(同等性)を証明−−大規模臨床試験VALIANT

 米国心臓協会学術集会(AHA)2003で、大規模臨床試験VALIANT(Valsartan in Acute Myocardial Infarction) の結果が報告された。同試験は心不全あるいは左室収縮機能低下を伴う急性心筋梗塞後ハイリスク患者1万4703例(18歳以上、24カ国、931施設)を対象に、ARBバルサルタンの予後改善効果をACE阻害薬カプトプリルと比較したもの。登録条件は、心不全の臨床的または放射線的所見、核医学で左室駆出率40%以下、心エコーで駆出率35%以下。

 対象患者は梗塞後0.5日以上10日以内(平均4.9日) に、バルサルタン群(4909例) 、カプトプリル群(4909例) 、バルサルタン+カプトプリル併用群(4885例) の3群に無作為化された。投与量の調節は3カ月かけて行われた。

 目標投与量は、バルサルタン群がバルサルタン160mg×2回/日、カプトプリル群がカプトプリル50mg×3回/日、併用群がバルサルタン80mg×2回/日+カプトプリル50mg×3回/日。

 第一次評価項目は総死亡。第二次評価項目は心血管死、非致死性心筋梗塞再発、心不全による入院など。平均追跡期間24.7カ月。

 VALIANTでは、バルサルタン群および併用群のカプトプリルに対する優位性の証明と同時に非劣性(同等性)が証明できる試験デザイン(Non-Inferiority Analyses)で史上最大規模の試験になっているのが大きな特徴。

 報告者の米国・ハーバード大学教授(Brigham & Women's病院内科副部長)のMarc A. Pfeffer 氏によれば第一次評価項目、第二次評価項目ともに、バルサルタン群とカプトプリル群、併用群とカプトプリル群の間に有意差はなく、バルサルタン群のカプトプリル群に対する非劣性(同等性)が証明される結果となった。

 バルサルタンの比較薬としてACE阻害薬の中でもカプトプリルが選ばれたのは、やはり急性心筋梗塞後患者(駆出率40%以下で明らかな心不全を有さない2231例)を対象とした大規模臨床試験SAVE(Survival and Ventricular Enlargement)で、カプトプリルがプラセボよりも総死亡の相対リスクを19%有意に減少させたというエビデンスがあるため(N Eng J Med 327: 669-677、1992)。カプトプリルの投与量もSAVEと同じに設定された。

 それだけに今回、バルサルタンがエビデンスのあるカプトプリルとの非劣性(同等性)が証明された意義は大きい。急性心筋梗塞後患者に対するエビデンスはARB で初めてであり、今回の結果は発表と同時にNEJM(349:1893-1906 、2003)に掲載されるなど大きな注目を集めている。

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