2003.11.11

【AHA2003速報】 蘇生率向上に威力を発揮、皮膚表面に冷水を流して体温を下げるサーモスーツ登場 

 心肺停止時などに体温を下げると、脳障害などの発生を抑えることができ、蘇生率が向上することが知られている。緊急に体温を低下させたい時、冷却したリンゲル液の経静脈投与などの侵襲的な手段をとらず、皮膚を覆って表面に冷却水を流すことで素早く体温低下を実現する「サーモスーツ」の開発が米国で進められている。現在は動物実験の段階だが、実用化すれば、救急車への搭載も可能という。米Life Recovery Systems社社長のRobert Freedman氏が11月10日のポスターセッション「Experimental Studies in Resuscitation and Critical Care」で発表した。

 Freedman氏らが開発したのは、目や鼻など顔面の一部を除き、頭部を含む全身を覆う寝袋のような「スーツ」。全身の皮膚表面に1cmの薄い水の層を作り、摂氏1〜2度の冷水を循環させることで、急速に体温を下げるものだ。

 5匹の米国産の豚を使った実験を行ったところ、20分間で35.3度から29.3度まで平均6度と有意に温度を下げることができた。スーツを着用し、冷水を循環させている状態でも、安定した心電図をとることができ、心マッサージを行うことも可能だという。

 サーモスーツ、袋入りの氷で体表を覆う、冷却したリンゲル溶液の静脈注射の各方法を用いて体重45kgの豚の深部体温の低下を調べたところ、サーモスーツでは冷却開始8分後4度低下したのに対し、氷バッグでは3度弱、経静脈投与では1度しか下がらなかった。サーモスーツは同じ装置を加温用としても利用できる。その場合は1時間あたり6度上昇させることが可能だ。

 Freedman氏は、「現在、プロトタイプを作成し、動物実験を行っているが、資金が集まり次第、2004年にもヒトを対象にした実験を行いたい。当面は救急救命室(ER)向けの製品開発を目指すが、将来的には救急車に搭載できるモデルを開発したい」と語った。(中沢真也)

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