2003.11.06

シロリムス溶出ステント「CYPHER」で副作用関連死60例が報告、FDAが医師・患者に副作用報告を呼びかけ

 米国で今年4月に承認、わが国でも近く承認が見込まれている薬剤溶出ステント「CYPHER」の留置を受けた患者に、亜急性の血栓症や過敏症などが相当数発生していることがわかった。ステントとの関連が否定できない死亡も、60例以上報告されているという。この状況を受け、米国食品医薬品局(FDA)はこのほど、医師そして患者に副作用(疑い含む)を積極的に報告するよう呼びかける通知を出した。

 このステント「CYPHER」は、細胞増殖抑制効果を持つシロリムス(ラパマイシン、本邦未開発)を塗布したもの。無作為化試験でステント留置後の再狭窄を抑制する効果が確認されており(関連トピックス参照)、ステント後再狭窄予防の切り札として爆発的に普及した。米国では4月の発売以降、10月までに既に26万本以上が医療機関に納品されている。

 しかし、発売後に同ステントとの関連が否定できない血栓症の発生がFDAに報告。この事態に対し、7月には「CYPHER」の製造元である米国Cordis社がドクターレターを出し、医師に向け抗凝固療法の併用など使用法の遵守と副作用の報告を喚起した。だが、その後も同様の報告が続き、死亡例が60件を超えたため、FDAが改めて使用法の遵守と副作用の積極的な報告を呼びかけることとなった。

 現在までに報告されている主な副作用は、亜急性期(ステント留置24時間後から30日後まで)の血栓症と過敏症。血栓症の報告は290件を超え、うち60人以上が死亡している。痛みやほてり、発熱などステントに対するアレルギー反応を伺わせる症状も50件以上の報告があり、死亡例も生じているという。

 FDAは「CYPHER」ステントの承認条件として、2000人規模の市販後調査と臨床試験参加者の長期追跡調査をCordis社に義務付けている。しかし、こうした重大な副作用の発生率や、この発生率が通常のステント(ベアステント)留置に伴う副作用発生率よりも高いか否か、あるいはどのような患者が副作用を起こしやすいかなどは全くわかっていない。そのため、FDAは現時点で販売中止措置や使用上の注意改訂などは行わず、引き続き副作用症例の収集に努めることとした。

 なお、医師または薬剤師を通すことが推奨されてはいるものの、米国では副作用報告の門戸が患者にも開かれており、FDAの副作用収集システム「MEDWATCH」に電話、ファクス、郵便またはオンラインで報告を行うことができる。

 この件に関するFDAの通知(Talk Paper)は、こちらまで。今年7月に発出されたCordis社のドクターレター(Dear Health Care Professional Letter)は、こちら(PDF形式)まで。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.10.3 薬剤溶出ステントの大規模試験「SIRIUS」が待望の論文化、患者背景に拠らず再狭窄を抑制

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