2003.11.06

ASHで発表の3臨床試験「MATISSE PE」「EXULT A」「THRIVE 3」、原著論文がNEJM誌に掲載

 昨年12月の米国血液学会(ASH)で発表され、大きな注目を集めた抗凝固薬関連の3臨床試験の原著論文が、New England Journal of Medicine(NEJM)誌10月30日号に掲載された。皮下投与できる血液凝固第10a因子阻害薬のフォンダペリヌックス(海外での商品名:Arixtra)を用いた「MATISSE PE」試験と、凝固能モニタリングが不要な経口抗トロンビン薬のキシメラガトラン(海外での予定商品名:Exanta)を用いた「EXULT A」「THRIVE 3」の2試験。以下に試験結果の概略をお伝えする。

◆ MATISSE PE

 症候性の急性肺塞栓症(PE)患者2213人を無作為に2群に分け、フォンダペリヌックスの1日1回定量皮下投与と未分画ヘパリンの静脈内投与とを、オープンラベル形式で比較した。患者の平均年齢は63歳、4割強が女性で、4割弱が深部静脈血栓塞栓症(DVT)を合併しており、4分の1が集中治療室(ICU)管理を受けた。1次評価項目は3カ月間の血栓性イベント発症(症候性PEの再発またはDVTの発症・再発)。

 追跡期間中にフォンダペリヌックス群(1103)人の3.8%、未分画ヘパリン群の5.0%が血栓性イベントを発症。有意差はなかったものの発症率はフォンダペリヌックス群で低い傾向があった。副作用の重度出血はフォンダペリヌックス群の1.3%、ヘパリン群の1.1%で生じたが、フォンダペリヌックス群の14.5%は外来管理が可能だった。フォンダペリヌックスは未分画ヘパリンと同程度の有効性、安全性で、一部は外来でもPEを管理できることがわかった。

◆ EXULT A
(Exanta Used to Lessen Thrombosis A)

 全膝関節置換術(TKR)を受ける1851人を対象に、キシメラガトランとワルファリンカリウム(商品名:ワーファリンなど)とで血栓塞栓症の予防効果を比較した。患者を無作為に3群に分け、ワルファリンカリウム群(761人)は術直後から投与を開始してプロトロンビン時間の国際標準比(INR)が2.5前後になるよう投与量を調節。キシメラガトラン24mg群(762人)、同36mg群(775人)には術翌日から指定の固定用量を服用させた。患者の平均年齢は68歳、6割が女性で体格指数(BMI)は31、原疾患は95%が変形性関節症。

 1次評価項目である静脈血栓症(VE)の発症または死亡は、ワルファリンカリウム群の27.6%、キシメラガトラン24mg群の24.9%、キシメラガトラン36mg群の20.3%に発生。一方の副作用の出血には3群間に差がみられず、重度出血も順に0.7%、0.8%、0.8%と有意差がなかった。キシメラガトランの36mg1日2回投与は、TKRを受ける患者のVE予防という点でワルファリン療法よりも有効性が高く、安全性はほぼ同等であることがわかった。

◆ THRIVE 3
(Thrombin Inhibitor in Venous Thromboembolism 3)

 標準的な6カ月間の抗凝固療法を受けたVE患者1233人を無作為に2群に分け、キシメラガトラン24mg1日2回またはプラセボを投与して1年半追跡し、VEの再発予防効果を調べた。平均年齢は57歳、半数弱が女性で9割弱が初発のVE。1次評価項目は症候性のVEの再発。

 追跡期間中にキシメラガトラン群(612人)のうち12人、プラセボ群(611人)のうち71人が症候性のVEを再発。再発率はキシメラガトラン群で相対的に84%、有意に低かった。出血は順に134件、111件生じ、キシメラガトラン群で多い傾向はあったが有意差はなかった。重度の出血(6件対5件、死亡例はなし)や総死亡(6人対7人)は両群で変わらなかった。肝機能異常はキシメラガトラン群でプラセボ群より有意に多かった(6.4%対1.2%)。VE患者に標準治療(6カ月間の抗凝固療法)を行った後、キシメラガトランを投与すると、肝機能異常に注意は必要だがVEの再発率を8割以上下げられることが判明した。

 「MATISSE PE」試験の論文のタイトルは、「Subcutaneous Fondaparinux versus Intravenous Unfractionated Heparin in the Initial Treatment of Pulmonary Embolism」。アブストラクトは、こちらまで。「EXULT A」試験の論文のタイトルは、「Comparison of Ximelagatran with Warfarin for the Prevention of Venous Thromboembolism after Total Knee Replacement」。アブストラクトは、こちらまで。「THRIVE 3」試験の論文のタイトルは、「Secondary Prevention of Venous Thromboembolism with the Oral Direct Thrombin Inhibitor Ximelagatran」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

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