2003.11.01

【日本高血圧学会速報】 アドレノメデュリンから広がる新たな展開、“脈圧”を標的にした降圧薬開発へ−−会長講演より

 10月31日の会長講演「高血圧治療の展望−アドレノメデュリンからの視点」では、宮崎大学第一内科教授で同大学附属病院長の江藤胤尚氏が、同教室などで発見された降圧ペプチド「アドレノメデュリン」の多彩な作用を解説。昇圧抑制と降圧促進を併せ持ち、弾性血管の硬化を阻止し得るユニークな機能が、“脈圧”をターゲットとした降圧薬開発のヒントとなると論じた。

 アドレノメデュリンは、宮崎大学第一内科の北村和雄氏、国立循環器病センター研究所の寒川賢治氏らが褐色細胞腫から1993年に分離同定した、52アミノ酸から成る循環調節ペプチド。心臓や血管など循環に関わる臓器で産生される。

 高血圧との関連では、重症度が上がるほど、血中のアドレノメデュリン濃度が高いことが判明。脳卒中患者にみられる内皮障害の重症度(エンドセリン濃度で評価)とも正の相関がある。透析患者では、透析前のアドレノメデュリン濃度は健常者より高く、透析後に低下するが、それが透析間の体重増加や透析濾過量とリンクしていることや、尿中ナトリウム排泄と尿中アドレノメデュリン量とに関連があることがわかってきた。

 江藤氏は、アドレノメデュリンが、血圧の上昇(昇圧ストレス)や血管内皮障害を引き金に局所で産生されることや、昇圧に関わるレニン−アンジオテンシン(RA)系などに拮抗する形で血圧の上昇を抑えて、降圧系を活性化することを提示。さらに、脈波伝播速度(PWV)を指標とした検討で、血圧の低下幅から予想される以上にPWVを下げ、大血管の硬さ(スティフネス)を改善することを示した。

 このことから江藤氏は「アドレノメデュリンは脈圧、収縮期血圧を下げるだけでなく、壁のスティフネスそのものに影響する可能性がある」と強調。さらに、既存の降圧薬は高齢者に使用した場合、拡張期血圧(DBP)は下がるが収縮期血圧(SBP)への効果が十分ではないが、それは「これまでの降圧薬は平均血圧を下げることをターゲットに開発されてきたため」と指摘し、「アドレノメデュリン研究は、脈圧をターゲットとした新しい降圧薬開発につながる可能性がある」と江藤氏は述べ、この分野から新たなパラダイムが開けてくる可能性があると話した。(内山郁子)

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