2003.10.19

【DDW-Japan 2003速報】 早期大腸sm癌はIp型や条件付き非Ip型ならEMR可能、長期観察研究が示唆

 外科切除または内視鏡治療を受けた早期大腸粘膜下層(sm)癌患者130人の長期予後を調べた研究から、腫瘍が肉眼分類で有茎性(Ip型)、あるいは非Ip型でも1.浸潤が1500μm未満、2.脈管侵襲がない、3.高分化腺癌−−の3条件を満たす人なら、術式によらずほぼ完治することがわかった。中央値で6年3カ月観察したが、その間に癌が再発した人は二人だけで、原病死は一人もいなかったという。研究結果は、静岡がんセンター消化器内科の吉野孝之氏らが、10月18日のワークショップ「EBMに基づいた早期消化器癌の内視鏡治療(腹腔鏡下手術を含む)指針と長期経過・予後の問題点」で報告した。

 内視鏡治療は、腹腔鏡手術や開腹手術よりも体への負担が少なく、社会復帰も早い。予後が同等なら内視鏡治療を選択する患者は多いはずだ。しかし、現時点では大腸癌の場合、分化型の腺癌で脈管侵襲が陰性、かつsm層への浸潤が極めて浅い(200〜300μm)までが内視鏡治療の適応範囲と考えられており、sm層への浸潤が300μmを超えるなどこの範囲から外れるケースにまで内視鏡治療の適応を広げられるかはわかっていない。

 吉野氏らは、国立がんセンター中央病院と東病院で治療を受けた大腸sm癌患者467人の検討から、腫瘍がIp型、あるいは非Ip型でも上記の3条件を満たす場合は、予後に大きな影響を与えるリンパ節転移が一人もいないことを以前に報告している。だが、それが長期的な予後に対し、実際にどのような影響を与えるかは不明だった。

 そこで吉野氏らは、3年以上経過を観察できた「腫瘍がIp型、あるいは非Ip型でも上記の3条件を満たす」130人について、5年生存率や5年無再発生存率を後ろ向き(レトロスペクティブ)に調べ、術式による予後の差を評価した。全員、腫瘍は一括切除されており、断端陰性で、進行癌を合併しておらず遠隔転移もない。

 対象患者の平均年齢は61歳で3分の2が男性。Ip型は55人(42%)で残りは非Ip型。33人(25%)は内視鏡的粘膜切除術 (EMR)、97人(75%)は外科切除術(OPE)を受けていた。男女比や観察期間、Ip/非Ip比率は両群に有意差はなかったが、平均年齢はEMR群が64歳とOPE群より4歳高齢だった。病変の大きさにも違いがあり、OPE群の方がEMR群より有意に病変が大きかった。

 その結果、EMR群の5年生存率は100%、OPE群の5年生存率は99%で、この間に死亡した3人(OPE群二人、EMR群一人)はすべて他病死であり、この層の早期大腸群患者なら外科切除でも内視鏡治療でも治癒し得ることが判明。再発はOPE群とEMR群から、肝転移(23カ月後)と局所再発(19カ月後)が一人ずつ生じたが、外科切除で治療でき、その後の再発・死亡はなかった。

 吉野氏は「Ip型のsm癌、あるいは浸潤度が1500μm未満で脈管侵襲がなく、高分化型の非Ip型sm癌では、内視鏡治療の長期予後は外科切除とほぼ同等」と結論。この条件を満たす腫瘍にまでEMRの適応を広げてもよい可能性があるとした。ただし、この研究の対象症例数が少なく、後ろ向き研究であるため、「真の適応拡大の実現のためには、安全性の検討を含めた多施設合同の長期予後成績や、前向きコホート試験が必要」と吉野氏は述べた。(内山郁子)

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