2003.10.19

【DDW-Japan 2003速報】 H.ピロリ菌未感染者の胃検診は3〜5年おきで十分−−消化器集団検診学会会長講演より

 10月17日の日本消化器集団検診学会会長講演「これからの胃癌検診−受診者の個別化と精度の向上を目指して−」では、朝日大学村上記念病院の井田和徳氏が登壇。胃癌検診の質向上のためには「検診の個別化」が必須との考えに立ち、ヘリコバクター・ピロリ菌(H.ピロリ菌)未感染者の受診間隔を3〜5年に広げることを提案。H.ピロリ菌現感染者以外の受診間隔を広げることで、胃癌検診の受診者数を現在の半分に抑えることができ、現場にゆとりが生まれて大腸なども含めた総合的な消化器検診が可能になると論じた。

 胃癌検診における大きな課題の一つが、癌発見率が初回受診群より低い「複数回受診群」に対する検診効率をいかに上昇するか。胃癌の場合、明らかな危険因子の一つがH.ピロリ菌感染だ。村上記念病院と岐阜大学第1内科が2000年から共同で行っている前向き研究の中間解析(登録症例数:1258人、平均観察期間:30カ月)でも、H.ピロリ菌の未感染者(全体の25%、平均60歳)や既感染者(萎縮などの所見はあるがH.ピロリ菌陰性、3%、62歳)からは一人も発癌がないのに対し、現感染者(73%、59歳)からは既に4人(0.44%)が早期癌を発症している。

 H.ピロリ菌感染の確定診断には抗原検査などを行うのが通例だが、井田氏は内視鏡所見やX線所見も感染診断に役立つと強調する。内視鏡所見では、1.びまん性発赤、2.点状発赤、3.ひだの腫大−−の三つの所見を総合すれば、感度89%、特異度73%でH.ピロリ菌感染を診断できる。X線検査でも、1.粘膜ひだが太いまたは蛇行している、2.胃小区が腫大している、3.膜境界型がC1〜O3−−の3点に着目すれば、同程度の感度・特異度で診断が可能だという。

 こうした点を踏まえ、「あくまで私見だが」と前置きして、井田氏は「H.ピロリ菌の感染歴などで受診者をグループ分けし、各グループごとに受診間隔を設定する」という、検診の個別化を提案した。未感染者や既感染者は、検診を3〜5年に1回受ければよい。現感染者は潰瘍などの所見があれば治療し、所見がなく萎縮が軽度〜中等度なら隔年検診、萎縮が高度なら逐年検診を行うというものだ。この方法なら「検診受診者がほぼ半減し、検診効率を向上できる」と井田氏は述べ、“制度疲労”を指摘する声もある胃癌検診を、ゆとりのある総合的な消化器検診へと組み替えることが可能になると話した。(内山郁子)


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