2003.10.15

【DDW-Japan 2003速報】 C型肝炎のIFN治療で新指針、難治例に「IFN−リバビリン併用療法後のIFN単独長期投与」を初めて推奨、治療に“年齢制限”も

 10月15日のワークショップ「コンセンサスミーティング・治療 C型肝炎」では、日本のC型肝炎治療をリードする専門医が一堂に集結。専門医間の合意事項(コンセンサス)として、C型肝炎の治療における様々な勧告を行った。インターフェロン(IFN)治療に関しては、これまで評価が定まっていなかった「IFN−リバビリン併用療法後のIFN単独長期投与」を、難治例(ウイルス型1型、ウイルス量大量)の初回治療として初めて推奨。ウイルス排除成績が比較的悪い「ウイルス量が大量の場合」は、余命内での肝疾患死リスクを勘案して、65〜70歳を超える場合はIFN治療を行わない方がよいとした。

 ワークショップでは、1.C型肝炎治療の総論、2.IFN治療、3.ポリエチレングリコール(ペグ)化インターフェロン(PEG-IFN)、4.IFN−リバビリン併用療法、5.瀉血−−のそれぞれについて、専門医が現時点までに得られているエビデンスを総括して種々の勧告を発表。これらの勧告に基づき、司会を務めた大阪大学大学院分子制御治療学の林紀夫氏と虎の門病院消化器科の熊田博光氏が、C型慢性肝炎患者へのIFN治療指針を初回治療と再治療に分けて提示した。

 提示されたIFN治療指針は次の通り。

《初回治療》
 ◎ウイルス型が1型、ウイルス量少量の場合
  ・IFN単独治療
   ※原則として75歳まで
 ◎ウイルス型が1型、ウイルス量大量の場合
  ・IFN−リバビリン併用療法(24週)後、IFN単独長期治療
  ・IFN−リバビリン併用療法(48週)
  ・IFN単独長期治療
   ※原則として65〜70歳まで
 ◎ウイルス型が2型、ウイルス量少量の場合
  ・IFN単独治療
   ※原則として75歳まで
 ◎ウイルス型が2型、ウイルス量大量の場合
  ・IFN−リバビリン併用療法
   ※原則として65〜70歳まで

《再治療》
 ◎ウイルス型が1型、ウイルス量少量の場合
  ・IFN−リバビリン併用療法
 ◎ウイルス型が1型、ウイルス量大量の場合
  ・IFN−リバビリン併用療法(24週)後、IFN単独長期治療
  ・IFN−リバビリン併用療法(48週)
 ◎ウイルス型が2型、ウイルス量少量の場合
  ・IFN−リバビリン併用療法
 ◎ウイルス型が2型、ウイルス量大量の場合
  ・IFN−リバビリン併用療法(24週)後、IFN単独長期治療
  ・IFN−リバビリン併用療法(48週)

 C型肝炎ウイルス(HCV)の遺伝子型(1型か2型か)と血中HCV量の多寡で4群に分けて、それぞれのケースで取るべき治療方針を明示するというスタイルは、海外の治療ガイドラインや、今年発表された厚生労働科学研究班のガイドライン(C型肝炎ウイルスの感染者に対する治療の標準化に関する臨床的研究)と同一。血中ウイルス量が少量の場合の初回治療を除き、すべてのケースでIFN−リバビリン併用療法を推奨している点が特徴の一つだ。2001年末にリバビリン(商品名:レベトール)がスピード承認、臨床現場で使えるようになったことを受けたもので、新時代の治療戦略の位置付けが明確になった。

 リバビリン併用療法の難点は、貧血など治療中断につながる副作用が多いこと(関連トピックス参照)。大阪大学大学院分子制御治療学の考藤達哉氏は「リバビリンの量よりも、投与期間が、ウイルス学的著効(SVR)を得る上で重要」と勧告、血中ヘモグロビンが急速に低下する患者などに対しては、むしろ早めに減量してでも、長く併用を続けることが大切だと強調した。

 また、遺伝子型が1型で血中ウイルス量が多い難治例に対し、初回治療として「IFN−リバビリン併用療法(24週)後のIFN単独長期治療」が、初めて推奨された。この治療戦略は既存のガイドラインには記載されていない方法だが、「ウイルス型が1型で高ウイルス量の患者には、IFNα−リバビリン併用24週投与の後、IFNαを単独で24週追加投与することが、現在の保険診療の中では最も高いSVRが得られる」(考藤氏)との勧告を組み入れた。

 ただし、この戦略が有効なのは、24週のIFNα−リバビリン併用療法でウイルスが陰性化した人のみ。引き続いて行うIFN長期単独投与は、再燃を抑制する目的で行われるもので、この時点でウイルスが陰性化していない人には効果が期待できない。「(併用療法後の長期単独投与をガイドラインとして出す際には)併用療法で24週までにウイルスが陰性化した人に限る、ということを明確化すべき」(武蔵野赤十字病院消化器科の泉並木氏)との指摘もなされた。

 また、難治例への治療戦略としては、2001年にIFNの投与期間の縛り(半年間)が撤廃されたことを受け、「IFN単独長期投与」も提示された。虎の門病院消化器科の荒瀬康司氏が示した「難治例でもIFNを1年以上投与するとウイルス排除率の増加が期待でき、ウイルス排除が行えなくても肝機能の維持(トランスアミナーゼの低値安定化)が期待できる」との勧告に従ったもの。単独投与の期間は「1年では不十分」(荒瀬氏)で、「2年間」ということで合意が得られたが、「虎の門病院1施設のデータのみに基づくのではなく、多施設共同研究で確認すべき」との意見も出された。

 IFN治療の適応年齢が明示された点も、今回提示された治療指針の大きな特徴。林氏と熊田氏の合意に基づくもので、IFNの短期(24週)単独投与で効果が期待できる「低ウイルス量」の場合は75歳まで、治療効果が低く長期投与やリバビリンとの併用が必要になる「高ウイルス量」の場合は65〜70歳まで、との目安が示された。

 これは、C型慢性肝炎に対する治療の目的が、あくまで「肝硬変・肝臓癌を防いで肝疾患死を減らすところにある」(信州大学医学部内科の田中榮司氏)、との考えに立脚している。期待される余命が短く、肝疾患で死亡するリスクが相対的に低い高齢者には、副作用が多く生活の質(QOL)を損ない得る治療を行わない方が良いとの判断だ。ただし、この「年齢制限」導入に関しては、会場アンケートでは賛同と否認がほぼ半々に分かれ、臨床現場における実際の診療との相違が大きいことを伺わせた。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.5.12 EPAがIFN−リバビリン併用療法で生じる貧血の副作用を予防

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