2003.10.14

【糖尿病合併症学会速報】 歯周病菌の中でPg菌が2型糖尿病に強く関与−−血清抗体価による検討で判明

 糖尿病患者では高率に歯周病が見られることはよく知られており、特に近年では歯周病による慢性炎症が糖尿病による血管病変の増悪に関与している可能性が多く指摘されている。歯周病菌の血清抗体価の調査研究から、日本人の2型糖尿病患者では健常人に比べ、Porphyromonas gingivalisの感染が有意に高いことが分かった。10月11日に開催されたワークショップ16「炎症関連因子」で、関西電力病院臨床検査科の吉岡郁子氏が報告した。

 吉岡氏らの研究グループは、2型糖尿病患者134人(男性96人、女性38人)と非糖尿病の対照群20人に対して、歯周病菌の血清抗体価と高感度CRP(C反応性タンパク質)の検査を実施した。患者は平均60.7歳、平均HbA1c7.1%、平均空腹時血糖値147mg/dlである。検査は、Porphyromonas gingivalis(Pg)のほか、Actinobacillus actinomycetemcomitansPrevotella intermediaの計3菌種7株を対象とした。

 ELISA法による抗体価測定の結果、PorphyromonasのFDC381株に対する、糖尿病患者の血清抗体価が平均で3500だったのに対し、非糖尿病患者では平均500、同菌のSU63株については、糖尿病者で平均800、非糖尿病者では平均300で、いずれも統計的有意に糖尿病患者の血清抗体価が高かった。これに対して、Actinobacillusの3株、Prevotellaの2株では、糖尿病患者と非糖尿病者に有意な差は見られなかった。

 また、糖尿病患者のうち、各菌株に対する血清抗体価が健常人の平均値から2SD(標準偏差)以上の高抗体価を示した者の比率を見ると、ActinobacillusとPrevotellaでは、8.1〜24.6%だったのに対し、Porphyromonasでは、SU63株で51.4%、FC381株では76.1%と高率だった。

 各菌の抗体価と高感度CRP値の相関についても、Porphyromonasだけが有意な正の相関関係があった。

 これらの結果から吉岡氏は、2型糖尿病患者の歯周病にPorphyromonasが深く関わり、慢性炎症の起因菌として歯周炎を増悪させ、CRPを増加させる要因になっている可能性が示唆されるとしている。

 吉岡氏らの研究グループでは、Porphyromonasの抗体価と頸動脈の初期病変の間にも正の相関があることを確認しており、Porphyromonasによる口腔内慢性炎症が、糖尿病の進展に重要な役割を果たしている可能性があるとしている。(中沢真也)

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