2003.10.12

【日本骨粗鬆症学会速報】 大学病院医師への経口ステロイドの副作用意識調査、結果に内科系と外科系で大差

 大学病院の外来担当医師を対象にした調査で、「経口ステロイド治療時に特に注意すべき副作用」の認識が、内科系医師と外科系医師とでは大きく異なることがわかった。注意すべき副作用・合併症のトップには科を問わず糖尿病が挙がったが、次に注意すべき合併症として、内科系は骨粗鬆症、外科系は消化性潰瘍を重視していたという。調査結果は、大阪大学大学院医学系研究科分子病態内科の紅林昌吾氏らが、10月11日の一般口演で報告した。

 紅林氏らは、同大学附属病院における経口ステロイドの使用状況を把握し、その問題点、特にステロイド投与中の骨粗鬆症に関する医師の意識を明らかにすることを目的に、全診療科の外来担当医を対象にアンケートを実施。診療科の代表者を通して質問票を配布、回収した。

 対象外来医師数は201人、回答者数は146人で、回答率は72.6%とこの種の調査では極めて高い。内科系(内科、神経内科、皮膚科、小児科、精神科)の回収率は81.6%、外科系(外科、小児外科、脳神経外科、泌尿器科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、産婦人科、放射線科、救急部、麻酔科)の回収率は65.8%だった。

 回答した医師のうち、経口ステロイドの処方経験がある人は7割。診療科別では内科系では内科と皮膚科、外科系では泌尿器科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科で比率が高かった。使用頻度が高いのはプレドニゾロンとベタメタゾンだった。

 次に紅林氏らは、複数の選択肢を挙げて、製剤選択と内服時間の設定における決定理由を選んでもらった。当てはまるものが複数ある場合はすべて挙げてもらう形の設問だったが、製剤選択では4分の1、内服時間では3分の1が単独の選択肢のみを回答。「医師の4分の1から3分の1は、明確な理由に基づく処方ではなく、経験的な処方を行っている」(紅林氏)ことが明らかになった。

 さらに、「経口ステロイド治療に際し注意する副作用・合併症」との設問では、内科系と外科系で医師の認識が大きく異なることが判明。代表的な副作用・合併症を11種類提示し、最も重視する三つを答えてもらったが、内科系では糖尿病、骨粗鬆症、感染症の順になったのに対し、外科系では糖尿病、消化性潰瘍、感染症の順になった。

 経口ステロイドを投与した場合、ステロイド性骨粗鬆症がどの程度合併し得るかという設問では、さらに大きな差が現れた。内科系医師の半数強が「20%以上」と答えたのに対し、外科系医師の6割は「5%未満」と回答、20%以上と答えた医師は2割しかいなかったという。

 ステロイド性骨粗鬆症は、昔は経口ステロイドを「長期間・大量投与」した場合のみで起こると考えられていたが、近年は低用量を短期間(3カ月程度)使った程度でも発症リスクが高まることが確認されている(関連トピックス参照)。紅林氏は「医師全体でも半数しか骨粗鬆症を経口ステロイド投与の合併症として重視しておらず、外科系医師ではさらに関心度が低い」と指摘。わが国でもステロイド性骨粗鬆症に対する独自の管理・治療指針を作成し(関連トピックス参照)、医師への啓蒙を進めることが重要だと強調した。

 発表後の質疑応答では、「ステロイド性骨粗鬆症への認識が低いといっても、半数が認識しているのは大学病院だからで、一般病院の勤務医や開業医では内科医でもさらに認識は低いのではないか」との感想や「ステロイド性骨粗鬆症を合併症として重視している医師のうちどれだけが、実際に骨密度を測定したり、骨代謝改善薬を処方しているのか」との質問が寄せられた。紅林氏は「認識と実際の診療行動には当然ギャップがあると思う。現在、実際の診療行動に対する第2弾の調査を進めている」と話した。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2001.9.17 日本骨粗鬆症学会速報】ステロイド性骨粗鬆症、早期からビス製剤の予防的投与を−特別講演より
◆ 2002.7.29 日本骨代謝学会速報】ステロイド性骨粗鬆症の“2002年版診断基準”が中間報告、原疾患・ステロイド用量別の基準提示

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