2003.10.12

【日本骨粗鬆症学会速報】 吸入ステロイドによる骨密度低下をビスホスホネート製剤が改善、無作為化介入試験で確認

 吸入ステロイドによる喘息治療を受けている閉経後女性では一般の閉経後女性より骨密度が低く、骨形成マーカーが低下しているが、こうした患者がビスホスホネート製剤を服用すると、骨吸収が抑えられて骨密度が増加することがわかった。一方、活性型ビタミンD製剤を服用した場合は、このような骨代謝改善作用は認められなかったという。閉経後の女性喘息患者26人を対象とした無作為化介入試験から判明したもので、10月11日の一般口演で報告された。

 この研究を行ったのは、大阪大学大学院医学系研究科分子病態内科の笠山宗正氏、宮武内科(大阪市)の宮武明彦氏らの研究グループ。経口ステロイドとは異なり、吸入ステロイドが骨代謝に影響するか否かには定まった見解がないが、笠山氏らは「閉経後女性の喘息治療」という一定の条件下では、吸入ステロイドの使用者で健常対照者より骨密度が低く、骨形成が抑制されていることを確認している。今回は、こうした吸入ステロイドによる骨粗鬆症・骨量減少患者を骨代謝改善薬で治療した場合、どの程度の治療効果が現れるかを、無作為化介入試験で検討した。

 対象は、宮武内科を受診しており、吸入ステロイド薬による治療を受けている閉経後の女性喘息患者のうち、骨量の減少や骨粗鬆症が認められる人。過去1年間に経口ステロイド薬の継続投与や女性ホルモン補充療法を受けたり、骨代謝改善薬が既に投与されている場合や、既に脊椎圧迫骨折がある患者は対象外とした。

 研究グループは、同意が得られた26人を、カルシウム製剤の併用下でビスホスホネート製剤群と活性化ビタミンD製剤群とに2対1の割合で割り付け、1年間追跡して骨代謝への影響を調べた。ビスホスホネート製剤にはアレンドロン酸ナトリウム(商品名:フォサマック、ボナロン)、活性型ビタミンD製剤にはアルファカルシドール(商品名:アルファロール、ワンアルファなど)を用いた。

 患者の平均年齢は、ビスホスホネート群(17人)が62.2歳、活性化ビタミンD群(9人)が64.2歳。使用している吸入ステロイドは両群ともフルチカゾン(商品名:フルタイド)が最も多く、1日吸入量はフルチカゾン換算で約200μgだった。骨密度や骨代謝マーカー値、呼吸機能など主な背景因子には、副腎皮質ホルモン(完全長のintact PTH)値(活性化ビタミンD群で有意に高値)以外は有意差がなかった。

 6カ月後、1年後の測定では、両群とも骨吸収マーカー値が有意に低下していたが、i-PTH値はビスホスホネート群でのみ有意に上昇。1年後の骨密度は、海綿骨に富む腰椎だけでなく、皮質骨に富む大腿骨頚部や大腿骨Ward三角部でもビスホスホネート群では有意に増加していたのに対し、活性化ビタミンD群では増加が認められなかった。以上から笠山氏らは「アレンドロネートは、吸入ステロイド薬を服用中の閉経後喘息女性に対しても、強い骨吸収抑制作用を示し、部位を問わず骨密度を増加させる」と結論付けた。(内山郁子)

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