2003.10.11

【日本骨粗鬆症学会速報】 日本人女性の半数はビタミンD不足、厚生労働科学研究が示唆

 健康な中高年女性500人を対象とした調査で、調査対象女性の半数以上が「ビタミンD不足」状態にあるとみなせることが明らかになった。血中ビタミンD(25OHD)濃度が極端に低い人では、有意に骨折も多かったという。神戸薬科大学衛生化学研究室の岡野登志夫氏、成人病診療研究所の白木正孝氏らの研究グループによる厚生労働科学研究(関連トピックス参照)の結果で、10月9日の一般口演で発表された。

 調査の対象は、成人病診療研究所を受診した、長野県在住の健常女性464人(30〜95歳、平均年齢65歳)。血中ビタミンD濃度の季節変動や年齢との関連、骨代謝に与える影響などを評価した。さらに、測定に保険適応がないなどの理由で日本人における基準値が不明確な25OHD濃度の“正常範囲”を、副甲状腺ホルモン(PTH)濃度や骨折有病率を指標に検討した。

 その結果、日照時間を反映して、血中ビタミンD濃度は冬季で低く夏季で高いという季節変動はみられたが、年齢にはまったく依存しないことが判明。PTH濃度とは負の相関があり、ビタミンD濃度の低下で、骨代謝回転を司るPTH(関連トピックス参照)が代償的に上昇することが確かめられた。腰椎骨密度とは正の相関が認められた。

 次に研究グループは血中ビタミンD濃度で全体を5分し、PTH濃度や骨折有病率が有意に上昇する血中ビタミンD濃度を評価した。すると、最も血中ビタミンD濃度が高い群(30ng/ml以上)と比べ、10ng/ml未満の群では骨折有病率とPTH濃度がいずれも有意に上昇。20ng/ml未満までの群ではPTH濃度が有意に上昇していた。なお、ビタミンDは脂溶性ビタミンだが、血中濃度と体格指数(BMI)との関連は認められなかった。

 以上から岡野氏らは、血中ビタミンD濃度が10ng/ml未満の人は“ビタミンD欠乏症”、20ng/ml未満の人は“ビタミンD不足状態”とみなせると結論。「欠乏症」は全体の2.2%とわずかだが、20ng/ml未満の「ビタミンD不足状態」の人は全体の55%にも達することから、「これまで考えられていた以上に、日本人ではビタミンD不足の人が多い可能性がある」と話した。

 ビタミンDは骨代謝などに好影響を与えるほか、複数の介入試験で高齢者の転倒を防ぐことも示されている(関連トピックス参照)。骨代謝という一つの観点からの評価ではあるが、女性の過半数で不足しているというのは、実は大変な事態ではないだろうか。男性を対象とした同様の評価を進めると同時に、現行の栄養所要量の見直しなど、国民の健康増進に向けた具体的な行動が必要な段階に来ていると言えそうだ。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.10.10 日本骨粗鬆症学会速報】ビタミンAの取り過ぎは骨折のリスク? 日本人女性でも相関
◆ 2003.9.22 PTHによる骨粗鬆症の治療、ビスホスホネート製剤との「相乗効果」なし−−2臨床試験が米で学会発表
◆ 2003.10.14 日本骨粗鬆症学会速報】ビタミンDが高齢者の転倒を4割減少、Ca製剤の併用で転倒による骨折も予防−−特別講演より

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