2003.10.09

【日本骨粗鬆症学会速報】 ビタミンAの取り過ぎは骨折のリスク? 日本人女性でも相関

 健康な中高年女性500人を対象に行われた調査で、血中のビタミンA(レチノール)濃度が極めて高い人に、骨折が多いことがわかった。今年1月に発表された、米国人男性2300人を30年間追跡したコホート研究でも、血中ビタミンA濃度が極端に高い人で大腿骨頚部骨折が多いとの報告が出されており(NEJM;348,287,2003)、研究グループは「日本人女性でもビタミンAの過剰摂取は骨折の原因となる可能性があるのでは」とみている。研究結果は、10月9日の一般口演で発表された。

 この研究を行ったのは、神戸薬科大学衛生化学研究室の岡野登志夫氏、成人病診療研究所の白木正孝氏らの研究グループ。2000年度の厚生労働科学研究「日本人高齢健常女性の血中脂溶性ビタミン濃度と骨代謝マーカーに関する調査検討事業」の一環として行われた。研究グループは、成人病診療研究所を受診した、長野県在住の健常女性464人を対象に、血中の脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、K)濃度や血中・尿中の骨代謝マーカー、骨密度を測定。骨折や癌の有病率も調べ、ビタミン量との関連を検討した。対象女性の年齢は30〜95歳で、平均年齢は65歳。

 その結果、血中のレチノール濃度の平均値は約60μg/dlだったが、骨代謝マーカーとは負の相関があり、骨密度とは正の相関があることが判明。レチノール濃度は加齢と共に低下したが、骨密度を年齢で補正した「AGE%」(年齢別平均の骨密度を100とした場合の骨密度)を用いても、レチノール濃度とは正の相関があった。このことは、レチノール濃度が高いほど骨密度が維持されており、その効果は年齢に依存しないことを示している。

 次に研究グループは、レチノール濃度で全体を5群に分け、骨折や癌の有病率との関連を調べた。すると、癌では血中レチノール濃度が高くなるほど有病率が低い傾向があった。ところが、骨折では米国での報告と同様、いわゆる「Jカーブ現象」が認められ、血中レチノール濃度が80μg/dl未満の人では濃度の上昇に伴い有病率が下がる傾向がみられたのに対し、80μg/dl以上の人では逆に、骨折の有病率が高くなった。

 以上から岡野氏は「ビタミンAの適正摂取は骨の健康維持に重要だが、過剰摂取は骨折の原因となる可能性がある」と考察。共同研究者の白木氏は「男性では骨密度が高いのに骨折様変形が認められることが多い。今回みられた骨折は、骨粗鬆症性の骨折ではなく、男性型の骨折様変形(高骨密度骨折)ではないか」と付け加えた。(内山郁子)

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