2003.10.08

COX-2阻害薬のロフェコキシブ、消化器系副作用既往者でもNSAIDよりメリット−−ADVANTAGE研究より

 シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)の選択的な阻害薬であるロフェコキシブ(欧米での商品名:Vioxx、日本では第3相試験中)と非ステロイド抗炎症薬(NSAID)との無作為化比較試験で、NSAIDにより消化器系副作用が以前に出た人でも、ロフェコキシブの方が消化器系副作用による服薬中断が少ないことがわかった。さらに、心血管疾患のため低用量アスピリンを常用している人でも、同様の傾向が認められた。COX-2阻害薬はNSAIDより消化器系副作用が少ない点が“売り”だが、消化器系副作用が出やすい人でもメリットが示されたのは初めて。研究結果は、Annals of Internal Medicine誌10月7日号に掲載された。

 COX-2阻害薬は、NSAIDと鎮痛効果が同等で、消化器系副作用が少ない薬剤として知られる。この特性を実証した代表的な臨床試験が、「CLASS」研究(the Celecoxib Long-term Arthritis Safety Study、JAMA;284,1247,2000)と「VIGOR」研究(Vioxx Gastrointestinal Outcomes Research Study、NEJM;343,1520,2000)だ。どちらも8000人規模の大規模試験で、前者は変形性関節症(OA)と関節リウマチ(RA)、後者はRA患者を対象としている。使用したCOX-2阻害薬は、前者がセレコキシブ(欧米での商品名:Celebrex、日本では承認申請中)、後者がロフェコキシブだ。

 2試験とも、全体ではCOX-2阻害薬服用群でNSAID服用群より有意に消化器系副作用が少ないことが示された。しかし、両試験とも「NSAIDによる消化器系副作用の既往者」は試験対象から除外されており、そうした“胃腸の弱い”人がCOX-2阻害薬を服用した場合のメリットは示されていない。さらに、「CLASS」試験参加者の約2割を占めるアスピリン服用者では、消化器系副作用の発現率はNSAIDと変わらず、「VIGOR」研究からはアスピリン服用者が除外されており、「アスピリン服用者がCOX-2阻害薬を飲むメリット」も不明のままだった。

 今回行われた「ADVANTAGE」(Assessment of Differences between Vioxx and Naproxen To Ascertain Gastrointestinal Tolerability and Effectiveness)研究の特徴は、アスピリン服用者や消化管出血既往者など、過去の臨床試験では除外されていた患者群を試験対象に含めたこと。対象は40歳以上のOA患者5557人。平均年齢は63歳、7割が女性で、9割が白人だった。9割には2カ所以上にOAがあり、最も多い主要部位は膝(51%)で、9割は痛みが1年以上続いていた。さらに、6割には心イベントの既往、15%にはNSAIDによる消化器症状の既往があり、13%は低用量アスピリン、49%は降圧薬を服用していた。

 研究グループは対象患者を、ロフェコキシブ群(2785人、1日量25mg)とNSAIDのナプロキセン群(2772人、1日量1000mg)とに無作為に割り付け、3カ月追跡した。1次評価項目は「消化器系副作用による服薬中断」で、「消化器系症状の治療薬の服用」を2次評価項目とした。

 その結果、腹痛や下痢などの消化器系副作用のため3カ月間に割付薬を中断した割合は、ロフェコキシブ群が5.9%、ナプロキセン群が8.1%で、中断率はロフェコキシブ群で相対的に26%有意に少ないことが判明(相対リスク:0.74、95%信頼区間:0.60〜0.92)。2次評価項目の「消化器系治療薬服用」も同様に、9.1%対11.2%となり、ロフェコキシブ群で有意に少なかった(相対リスク:0.79、95%信頼区間:0.66〜0.96)。

 さらに、全体の15%を占める「NSAIDによる消化器系副作用既往者」でも、服薬中断率の相対リスクは0.53(95%信頼区間:0.34〜0.84)と、ロフェコキシブ群で服薬中断が有意に少ないことが判明。13%を占める低用量アスピリン服用者の場合、有意差とはならなかったが、相対リスクは0.56(同:0.31〜1.01)とロフェコキシブ群で服薬中断が少ない傾向がみられた。なお、効果に関して両薬は同等だった。

 OA患者には高齢者が多く、以前にNSAIDで消化器系の副作用が出たり、心血管疾患のためアスピリンを服用している人も少なくない。こうした「実際に臨床現場で出会う患者」に対しても、COX-2阻害薬の「副作用の少なさ」が示唆された意義は大きい。とはいえ副作用はゼロではなく、COX-2阻害薬を処方する場合も、消化器系を含む副作用に注意が必要な点は変わらない。臨床現場に近い条件下で、3カ月間に6%の人に対して服薬中断につながる消化器系副作用が出たという点には留意すべきだ。また、本試験の追跡期間は3カ月と短いが、OAやRAの治療に用いる場合は長期投与が前提となるだけに、同様の患者群を対象としたより長期的な追跡研究に期待したい。

 この論文のタイトルは、「Gastrointestinal Tolerability and Effectiveness of Rofecoxib versus Naproxen in the Treatment of Osteoarthritis」。現在、こちらで全文を閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(内山郁子)

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