2003.10.08

添い寝は危険? 赤ちゃんの窒息死リスクが40倍に−−米研究

 親と同じベッドで寝ている赤ちゃんは、ベビーベッドで寝ている赤ちゃんと比べ、窒息死リスクが40倍にもなる−−。そんな研究結果が米国の研究者から発表された。睡眠中に親の下敷きになった恐れがあるケースなどを除いても、なお20倍のリスクとなったという。情操面への好影響などから見直しが進む添い寝だが、こと安全性という観点ではやはり注意が必要なようだ。研究結果は、Pediatrics誌10月号に掲載された。

 赤ちゃんは大人よりも呼吸機能が未熟で、顔に布団がかかる、ベッドに体が沈みこむなどの理由で呼吸が妨げられると、そのまま窒息してしまうことがある。以前米国で行われた調査で、窒息死した赤ちゃんの多くが、大人用のベッドに寝ていた(親が添い寝していた)ことが判明。この調査結果は「子供はベビーベッドに一人寝させるべき」とのキャンペーンへとつながったが、死因には親の下敷きになるなどベッドの質以外の要因も含まれている上、一般の子供の睡眠状況との比較も行われておらず、「寝場所」だけでリスクを断じるのは乱暴だとの批判もあった。

 そこで、米国St. Louis大学呼吸器科部門のJames S. Kemp氏らは、1995〜1998年に窒息死した11カ月未満の赤ちゃんの、寝場所と死亡した時の状況を改めて分析。同じ時期に行われた赤ちゃんの睡眠状況調査と比較して、窒息死した赤ちゃんで本当に添い寝が多いのかどうかを評価した。

 睡眠中に窒息死した赤ちゃんは、1995〜1998年の4年間で883人。うち107人(12%)はベビーベッドに寝ており、391人(44%)は大人用のベッドに寝ていた。それ以外はソファーや椅子などで寝ていたケースで、寝場所が記録されていないケースも14%あった。

 一方、同時期に行われた赤ちゃんの睡眠状況調査は、8カ月未満の赤ちゃんがいる家庭に電話をかけ、「赤ちゃんは普段どこで寝ているか」を尋ねるもの。1994〜1998年の5年間、毎年1000家庭に対して調査が行われた。この調査からは、寝場所が定まっていないケースなどを除き、赤ちゃんの70%が普段はベビーベッド、9%が普段は大人用のベッドで寝ていることがわかった。

 二つのデータを付き合わせると、ベビーベッドで寝ている赤ちゃんが窒息死するリスクは10万人当たり0.63人、大人用のベッドで寝ている赤ちゃんでは10万人当たり25.5人となり、大人用のベッドで寝ると窒息死リスクが40倍にもなることが判明。圧死やベッドからの転落など、ベッドの質以外の要因を除いても、リスクは20.4倍(95%信頼区間:18.0〜22.8)にもなる計算になった。

 研究グループは、「(マットレスが柔らかすぎるなど)赤ちゃん用に設計されていないベッドで寝させると、睡眠中に窒息死するリスクが少なく見積もっても20倍以上になる」と結論。親と同じベッドでの添い寝にはこうしたリスクがあることを、広く知らしめるべきと強調している。日本人は欧米人より赤ちゃんと添い寝する比率が高いとされるが、ベッドを使う場合は硬めのマットレスを選び、余分な枕を使わない、赤ちゃんの寝る側を壁にぴったり付けるなど、安全面への一層の配慮が必要だと言えそうだ。

 この論文のタイトルは、「Where Should Infants Sleep? A Comparison of Risk for Suffocation of Infants Sleeping in Cribs, Adult Beds, and Other Sleeping Locations」。アブストラクトは、こちらまで。この件に関するSt. Louis大学のプレス・リリースは、こちらまで。(内山郁子)


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