2003.10.04

【日経メディカル版◇関東の「良い病院」ランキング】 病院ランキングブーム、「医療の質」向上に活用できる通知表

 病医院ランキングが花盛りだ。完全な評価システムはないが、体制、患者満足、症例数など患者が様々な角度から医療機関を眺めるようになった。ランキングを病院改善に結びつける循環を作るのが大切だ。

 この10月末、日本医療機能評価機構(以下、評価機構)は、全国817の病院の評価内容をまとめた一般消費者向けの本を発売する。「地域の人々に病院への関心を高めてもらう。そして、地域の人々の目にさらされることで、病院の改善にさらに努力してもらいたい」。評価機構事業部長の篠塚功氏は、そう狙いを説明する。

 今回発売される本の基になっている情報自体は、既に評価機構のインターネット上で公開されていたものだ。この本では、認定を受けた病院ごとにその概要、講評が書かれ、後ろの方には全病院の評価を一括して示した「評点一覧表」がついている。実は、これが大きなインパクトを持つ。これにより各病院を比較することが容易になるからだ。

認定取得から競争の時代に

 これまで評価機構は、それぞれの病院が改善を進めることに重きを置き、病院間の比較や競争をあまり強調していなかった。病院の経営者が関心を持ち、病院スタッフが意識をし、内部からの改善意欲を醸成することを重視する姿勢だった。だが、利用者や地域住民の視線と選択という“外圧”で、さらに病院改革の弾みをつけてもらうという新段階に入った。

 本誌は、評価機構の一般向け書籍発売に先がけ、ホームページ上に開示された情報から関東1都6県の一般病院B(地域の中核となる病院)を抽出、全評点を集計した「評点一覧表」を作り、そこから病院ランキングを作成した。

 ランキングの算出方法はこちら

1位は東京厚生年金病院

 その結果、ランキングI(1999年10月以降認定分)では52病院のうち東京厚生年金病院(東京都新宿区)が、ランキングII(99年10月以前認定分)では28病院のうち河北総合病院(東京都杉並区)が1位となった。

 ランキングI(1999年10月以降認定分)はこちらから

 ランキングII(99年10月以前認定分)はこちらから

 上位と下位の点数差は大きい。ランキングIは615点満点(評価項目数123)だが、トップの東京厚生年金病院と最下位の西東京中央総合病院(東京都西東京市)では112点の差がある。605点満点(評価項目数121)のランキングIIでは、1位の河北総合病院と28位の原田病院(埼玉県入間市)で140点もの差がついた。

 これからは認定を受けるだけでは不十分で、いかに高い評点を取るかが課題だ。認定さえ受けていない病院は論外だが、認定を受けても評点を公開しない、あるいは評点が低い病院は患者が避ける可能性も出てくる。

 上位、下位の病院にランキング結果の受け止め方を聞いてみた。

 東京厚生年金病院院長の木全心一氏は、「努力してきたことが結果に表れて、大変うれしい」と、喜びを素直に表す。「『病院は患者のためにある』が信念。特に患者の安心と安全には気を使ってきた。この前も輸液セットを接続の取り違えが予防できる方式に切り替えた。看護師が親切との声はよくいただくし、地元の病院と年に一度、意見交換会を開くなど地域連携にも力を入れている。“無駄を省こう。お金は患者のために使おう”がモットー」。

 一方、最下位になった西東京総合病院病院長の山本啓一郎氏は、「準備不足で審査を受けたことも点数に影響しているかも知れない」と残念がる。

 評価機構の採点の仕方は現状では「外面的」である。書類の管理がしっかりしている、管理担当者がいるなどの組織体制の評価が主体。質の高い医療、高い患者満足を結果として提供できているかは、基本的には計測できない。それに対して、患者満足度から医療機関を評価する動きも出始めた。

■患者アンケートや病院の症例数などから多数の病院ランキングが出ていますが、その読み解き方については、以下の表「ランキングの特徴と限界」をご参照ください。



■ランキングを病院がどう受け止めるべきかについては、以下の表「病院のランキングへの対処法」をご参照ください。



(詳しくは日経メディカル10月号本誌でお読みください)

■ お詫びと訂正 ■
 『日経メディカル』2003年10月号の20〜21ページでランキングIIの対象が26病院とあるのは、28病院の誤りでした。また、24位、25位、26位の病院は、それぞれ26位、27位、28位でした。お詫びして訂正します。

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