2003.10.03

母乳による風邪予防、効果は女の子のみ−−米研究

 母乳には赤ちゃんが風邪などの病気にかかりにくくする効果があるが、生まれてから1カ月以内の赤ちゃんを調べた研究で、この「母乳効果」は女の子にしか現れないことが明らかになった。生後1カ月まで母乳だけで育てられた女の子は、それ以外の女の子よりも風邪などの気道感染症にかかるリスクが5割低かったが、男の子ではこうした関連はみられなかったという。研究結果は、Pediatrics誌10月号のホームページ上でオンライン公開された。

 この研究を行ったのは、米国Brigham and Women's病院のAnushua Sinha氏ら。同病院で8年間に生まれた子供のうち、生後1カ月までに風邪や肺炎にかかった241人と、そうした気道感染症にはかからなかった1205人とで、育て方などにどのような違いがあったかを比較した。

 風邪などをひいた赤ちゃんは、冬生まれが多く、兄弟姉妹がいるケースが多かった。冬は風邪がはやる季節で、他の子供から病気をうつされる可能性が高いことを考えると納得できる結果だ。また、収入と赤ちゃんの風邪の引きやすさにも関連があり、風邪などにかかった赤ちゃんの家庭は低収入のところが多かった。

 生後1カ月まで母乳だけで育った赤ちゃんの比率は、風邪を引いた子供では38%、風邪を引かなかった子供では44%。人工乳だけで育てられた赤ちゃんの比率は順に27%と22%だった。生まれた季節や兄弟姉妹の有無、家庭の収入で補正すると、生後1カ月まで人工乳だけで育てた場合と比べ、完全母乳では30%、混合乳(母乳と人工乳をどちらも使うこと)では17%、風邪などの気道感染症にかかりにくい計算になった。

 次に研究グループは、赤ちゃんの性別によって、こうした気道感染症の予防効果が変わるかを調べた。すると、女の子では完全母乳で育てると風邪などをひくリスクが50%、混合乳でも40%低くなるのに対し、男の子ではリスクに違いが現れなかった。

 ちなみに、風邪を引いた子供は男の子と女の子がちょうど半々で、男の子が特に風邪を引きやすいわけではない。どうして女の子だけに母乳の感染症予防効果が現れるのかは不明だが、「母乳を飲んだ子供で感染症が少ないことは事実。少なくとも生後1カ月、できれば生後6カ月までは、母乳を与えた方がいい」と研究グループは勧めている。

 この論文のタイトルは、「Reduced Risk of Neonatal Respiratory Infections Among Breastfed Girls but Not Boys」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(内山郁子)

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