2003.10.03

薬剤溶出ステントの大規模試験「SIRIUS」が待望の論文化、患者背景に拠らず再狭窄を抑制

 昨年の経カテーテル心血管治療学会(TCT2002)で発表され、シロリムス溶出ステントの欧米における承認根拠ともなった米国の大規模試験「SIRIUS」(a U.S. multicenter,randomized double-blind study of the SIRolImUS-eluting stent in de novo native coronary lesions、関連トピックス参照)の原著論文が、New England Journal of Medicine(NEJM)誌10月2日号に掲載された。同論文では患者背景別のサブ解析結果も提示、糖尿病の有無や血管径、病変長などに拠らず、シロリムス溶出ステントに標的病変に対する再灌流療法(TLR)実施の抑制効果があることが示された。

 対象は、狭心症と心筋虚血があり、介入対象の冠動脈狭窄部位の病変長が15〜30mmの1058人。欧州で行われた「E-SIRIUS」(関連トピックス参照)試験とは異なり、組み入れ条件に血管径は含まれていない。

 患者背景は「E-SIRIUS」試験とほぼ同じで、平均年齢が62歳、7割が男性で、高血圧は7割、糖尿病は4分の1、高脂血症は4分の3の患者が合併している。4割が多枝病変で(文末の「お詫び」をご覧下さい)、介入病変のある冠動脈径は平均2.80mm、病変長は平均14.4mmだった。

 一次評価項目の「PTCA(経皮的冠動脈形成術)9カ月後の複合心イベント発生率」は、シロリムス溶出ステント群(533人)で8.6%と、ベアステント群(525人)の21.0%より有意に低くなることが判明(p<0.001)。二次評価項目の一つ「8カ月後の総再狭窄率」も、8.9%対36.3%となり、シロリムス溶出ステント群で有意に低かった(p<0.001)。

 患者背景別の解析では、「糖尿病の合併」「細血管」「長病変」の三つが、複合心イベント発症の危険因子であることがわかった。しかし、こうしたハイリスク者でも、比較的イベント発症リスクが低い人とほぼ同程度の、有意な相対リスク抑制効果を受けることが明らかになった。

 研究グループは、より長期的な予後の評価が必要としつつも、「幅広い背景を持つ患者でシロリムス溶出ステントが一貫した治療効果を示した」点が最も重要だと強調。シロリムス溶出ステント群の再狭窄発生に独特のパターンがあることから、同ステントを留置する際には1.前拡張に短いバルーンを使う、2.バルーンによる内皮障害部位全体を1本でカバーできる長いステントを留置する、3.必要に応じ、短い高圧バルーンでステント内の後拡張を行う−−との手法を採用するよう勧めている。

 この論文のタイトルは、「Sirolimus-Eluting Stents versus Standard Stents in Patients with Stenosis in a Native Coronary Artery」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.9.30 シロリムス溶出ステントの大規模試験「SIRIUS」が結果発表、総再狭窄を4分の1に抑制
◆ 2003.10.1 薬剤溶出ステント、細血管の長病変でも狭窄抑制効果が確認−−E-SIRIUS試験より

■ お詫び ■
 2002年9月30日付の記事で、「SIRIUS」試験の対象を「冠動脈1枝病変を持つ」と報じましたが、1枝病変の患者は全体の6割で残りは多枝病変の患者でした。お詫びして訂正致します。(MedWave編集長、三和護)

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