2003.10.02

【国際動脈硬化学会速報】 血管内皮前駆細胞、喫煙者では少ないが4週間の禁煙でほぼ非喫煙者レベルに戻る 

 喫煙者では非喫煙者に対して心血管疾患が多いことが知られているが、その原因の一端として、血管内皮前駆細胞(EPC)が関連している可能性が出てきた。表面マーカーによってEPC数を調べたところ、喫煙者では非喫煙者と比較して、40〜50%も少ないことが明らかになった。喫煙者を禁煙させる介入試験を行ったところ、4週間でほぼ非喫煙者の水準に増加したという。10月1日のポスターセッション「血管生物学」で名古屋大学循環器内科の近藤隆久氏が発表した。

 血管内皮前駆細胞(EPC)は血管内皮の前駆体であるだけでなく、それ自体、血管内皮自体の一部を果たしているとされるため、喫煙者では日常的に血管傷害を起こしやすい状態にあると言えそうだ。

 喫煙群15人、非喫煙群14人のEPCを測定した。喫煙群は4週間禁煙させ、その後喫煙を再開させ、EPC数の変化を観察した。喫煙者のうち8人には禁煙時にニコチンパッチを使用した。

 介入に先立って測定したEPC数は、表面マーカーCD34またはCD133が陽性でCD45が低値という条件で測定した。CD133が陽性、CD45が低値という条件では、非喫煙者が208(100万個当たりの個数)だったのに対して喫煙者では113と有意に低かった。

 CD133が陽性、CD45が低値という条件で禁煙後の変化を確認したところ、開始時には約570(カウント/ml)だったのが、禁煙2週後には約1000、4週後には約1400と急増した。その後、喫煙を再開して4週後には、再び約900と減少した。ニコチンパッチの使用の有無によるEPC数の違いに有意差は見られなかった。

 EPC数は非喫煙者に対して喫煙者では有意に低く、血管傷害時の回復などに影響する可能性がある。喫煙者では心血管疾患や脳血管疾患の発症が多いことを説明する要因になっている可能性もある。ただし、EPC数は禁煙後1カ月で非喫煙者と同程度の水準になるが、喫煙者の心血管疾患イベントの水準が非喫煙者に近い水準に戻るには2年間程度を要するという報告があり、EPC数の減少だけでは、喫煙が血管系に与える影響を説明するのは難しそうだ。(中沢真也)

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