2003.10.01

輸血による西ナイル熱感染、米で昨年発生の23例の詳細がNEJM誌に掲載

 米国で昨年発生した、輸血による西ナイル熱感染患者及び血液ドナーに関する詳細な報告が、New England Journal of Medicine(NEJM)誌9月25日号に掲載された。輸血後に西ナイル熱を発症した患者は23人、対応するドナーは19人で、ドナーから採血した血液中には全例で西ナイルウイルス(WNV)が確認されたが、ドナーのうち少なくとも5人は献血以降も全く無症状だったという。

 輸血を受けて西ナイル熱を発症した患者の43%(10人)は、移植(免疫抑制薬の服用)や癌治療などのため免疫力が低下した状態。35%(8人)は70歳以上だった。免疫力が低下していた輸血後発症者では、それ以外の輸血後発症者や蚊に刺されての発症者と比べ、潜伏期間が長い傾向があったという。

 ドナーは16人中14人と連絡が取れ、献血当時の体調を思い出してもらったが、うち5人には発熱や寒気、頭痛などの西ナイル熱様症状が献血後も全くなかった。9人には献血前後にそうした症状がみられた。別のWNVがない献血ドナー654人にも西ナイル熱様症状の有無を聞き、比較したところ、「熱、新たなほてり感(new rash)、目の痛み」の3症状が血中にWNVがあったドナーに多いことがわかった。なお、献血時の抗WNV抗体はこの16人では全員が陰性だった。

 米国における西ナイル熱の2003年累積患者数は、9月29日現在で5124人。抗体検査による診断キットの発売(関連トピックス参照)もあってか、米国疾病対策センター(CDC)によると報告患者には昨シーズンより軽症者が多いとのことだが、それでも98人が死亡している。また、米国食品医薬品局(FDA)は輸血用血液の安全確保に向け、WNVの核酸検査を6月末から7月にかけて全米で開始したが、9月18日現在、二人の輸血後発症が確認された。うち一人は、核酸検査開始後の献血による発症だった。

 今回の論文が示すように「ドナーの症状」による(無症候・軽症)感染者の排除が難しい上、現実に核酸検査をすり抜けるケースがあったというわけだが、CDCは「献血血液による西ナイル熱発症のリスクはゼロではないが、昨年よりはるかに安全になっている」と強調している。

 この論文のタイトルは、「Transmission of West Nile Virus through Blood Transfusion in the United States in 2002」。アブストラクトは、こちらまで。米国の西ナイル熱累積患者数は、CDCホームページのこちらに最新情報が掲載されている(毎週更新)。今シーズンに報告された2例の輸血後感染に関しては、こちらまで。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.7.16 FDAが初の西ナイルウイルス検査キットを承認

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