2003.09.26

【注目の商品】 ピロリ菌を減らすココアと鶏卵が登場、ヨーグルトのヒットに続けるか

 胃の粘膜に住みつき、胃潰瘍(いかいよう)や胃ガンの原因になるヘリコバクター・ピロリ菌。このピロリ菌を減らす効果を確かめたココアと鶏卵が発売された。

 ココア最大手の森永製菓は、8月20日に粉末ココア「インナーFFAカカオパウダー」を全国発売した。ピロリ菌を減らす働きのあるココア成分「カカオFFA(カカオ遊離脂肪酸)」を、通常のココアの2倍に高めた。1日1杯、1カ月飲み続けるとピロリ菌の活動度が低下することを、北里研究所メディカルセンター病院研究部部長の鈴木達夫氏らが29人のピロリ菌陽性健常者の試験で確認している。

 価格は1杯当たり64円。同じ個包装タイプの一般のココアのほぼ2倍の値段。

 一方、鶏卵トップのイセ食品が9月1日に通信販売を始めた鶏卵「胃もよろこぶ卵」は、ピロリ菌をくっつけて体外に排出する働きやピロリ菌の増殖を抑制する働きがある、抗ピロリ菌鶏卵抗体(IgY)を含む卵。

 IgYは親のニワトリの抗体が鶏卵の黄身に集まったもの。普通の鶏卵にもIgYは含まれているが、「胃もよろこぶ卵」は、ピロリ菌に働きかける特別な性質をもつIgYが黄身に蓄積されるよう、親のニワトリにピロリ菌の成分を注射して産ませた卵。1日1個、1〜2カ月食べるとピロリ菌を減らせる効果が、20人のうち8割以上の人で確認された。

 価格は、白玉6個入り1800円。1個当たり300円と、普通の卵に比べると値段は一桁高い。

 ピロリ菌を減らす効果のある機能性食品が相次ぎ商品化されているのは、日本人の中高年のピロリ菌陽性率が8割と、欧米に比べて高いことに加え、ピロリ菌を減らす効果のあるヨーグルトの売れ行きが好調なため。

 その代表格は、ヨーグルト最大手の明治乳業が2000年春に発売した「明治プロビオヨーグルトLG21」。

 1個120g入り120円と、普通のプレーンヨーグルトより割高だが、販売量は年々増え、2003年は270億円の販売を見込む大ヒット商品になっている。1日1個、24週間続けて食べればピロリ菌の活動が抑えられ、胃粘膜の炎症度も改善することが東海大学医学部感染症学部門教授の古賀泰裕氏らの試験で確認されている。

 2003年9月上旬にスウェーデン・ストックホルムで開かれた第16回欧州ヘリコバクター研究グループ国際ワークショップのサテライト・シンポジウムで、古賀氏はLG21の開発について招聘(しょうへい)講演を行った。LG21の成果は海外からも注目されているためだ。

 LG21乳酸菌は、抗生物質耐性のあるピロリ菌に対しても効果があるとの成果も、古賀教授らは論文発表している。

 同じヨーグルトでは、ネスレ・スノー社の「ネスレLC1ヨーグルト」も、ピロリ菌の活動を抑える作用が強いことが確認されている。

 ネスレ・スノーは、「ネスレLC1ヨーグルト」の購入者に、郵便検診を無料プレゼントするキャンペーンを9月から開始した。

 この検診コースには、一般的な血液検査のほか、ピロリ菌検診と胃ガン検診も含み、ピロリ菌に対するヨーグルトの効果を消費者に間接的に伝える意味を持たせている。薬事法などの規制によって、ピロリ菌に対する効果を消費者に直接伝えることが難しいだけに、注目されるキャンペーン内容だ。

 医療現場では、ピロリ菌を抗生物質などで殺す除菌療法が広がっているが、除菌療法の副作用があったり、結果的に抗生物質耐性のピロリ菌を育ててしまうなどの問題点も指摘されている。

 ピロリ菌の発見者である西オーストラリア大学のバリー・マーシャル教授は、「ピロリ菌がいても胃痛などの症状がなければ、除菌療法を急ぐ必要はない」と語る。「日ごろから、新鮮な果物や野菜、特にビタミンCの豊富なものを食べていれば、胃ガンになりにくくなる」と続ける。

 ピロリ菌を減らす効果は、緑茶やコーヒーなどの飲み物にも認められている。医薬品ではなく、食品でピロリ菌対策をしたいと考える消費者を狙う機能性食品は、今後さらに増えそうだ。

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