2003.09.26

【企業動向】 サントリー、アラキドン酸の市場拡大狙い 大学医学部との共同研究を活発化

 サントリーが高齢化の進展をにらんで市場拡大を期待する、アラキドン酸の効用研究が広がっている。

 同社は7月に、物忘れや将来のボケが気になるシニア層を狙ったサプリメント「アラビタ」を発売した。アラビタの主成分は、生きていく上で不可欠な必須脂肪酸である、アラキドン酸(ARA)とドコサヘキサエン酸(DHA)。

 血液をサラサラにし、脳機能を改善する魚油としてDHAは良く知られているが、アラキドン酸の知名度は低い。

 アラキドン酸の生産技術を確立しているサントリーは、すでに実施している杏林大、大阪大、東京医科歯科大など6大学に加え、大阪市立大、金沢大との共同研究をスタートさせており、徳島大との共同研究も開始する予定だ。アラキドン酸の効用研究を深めることで、知名度向上と市場拡大を狙う。

 アラキドン酸は脳、皮膚、肝臓、血液など、人体内の細胞や細胞膜を構成する主要な脂肪酸の一つ。うに、はも、ぶり、まぐろといった魚介類や、豚の腎臓や牛レバーといった肉類、卵黄などに多く含まれている。

 ところが、年をとり、高齢になると、体内量が減ってくる。また、アルツハイマー病の患者の脳内では、アラキドン酸が少ないことがわかっている。

 そこで、同社と杏林大学精神神経科教授の古賀良彦氏は、アラキドン酸を補給すると脳にどのような影響があるかを調べるために、60〜70歳の脳機能が健常な男性20人を対象とした臨床研究を行った。

 毎日240mgのアラキドン酸を摂取させ、1カ月後の脳波を摂取前と比較した。その結果、情報処理にかかる時間が7.6歳分、集中度で5.0歳分若返ることがわかった。

 また、同志社大文学部教授岡市廣成氏と共同で、ラットを使った水迷路実験によって、アラキドン酸を摂取し続けると高齢ラットの学習・記憶能力が高まることがわかった。

 さらに、大阪大蛋白質研究所所長の永井克也氏と共同で、老齢ラットを使った日内リズムの影響を調べる実験で、アラキドン酸を摂取すると、日内リズムの乱れが改善され、同調速度(時差ボケの回復速度)を速めることがわかった。

 サントリー健康科学研究所所長の木曽良信氏は、「これらの効用は、アラキドン酸を補給すると、活性酸素の影響で傷ついた神経伝達組織が修復されるためではないか」とみている。

 アラキドン酸はすでに、乳幼児用の調整乳に配合されているが、サプリメント成分としての商品化は、世界でも類をみない。「アラビタ」は1日目安量の6粒に、アラキドン酸とDHAを各240mg、脳内と同じ1対1で配合している。値段は、180粒(約1カ月分)入りで6000円。

 アラビタのアラキドン酸とDHAの配合量は、鶏卵を毎日3.1個を食べると摂取できる量だが、卵によるコレステロール摂取が気になる中高年に訴求したいという。アラビタの実際の購入層は、50〜60代が中心という。

 サントリーがアラキドン酸の開発を始めたのは、「阪神が前回優勝した1985年。発売までに18年かかった」(木曽氏)。サントリーが満を持して発売した新成分の今後を注目したい。

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