2003.09.25

小児癌の生存者で健康状態を追跡調査、女性で低学歴、低収入にリスク

 治療技術の発達により多くの小児癌で治癒率が高まってきたのに伴い、長期生存者を対象に、癌治療の影響を追跡調査できるようになってきた。例えば、小児癌の生存者で健康状態を追跡調査したところ、高校を卒業せず、年収が2万ドル以下の女性の場合に、健康を害する危険性が相当高いことがわかった。小児癌生存者研究(Childhood Cancer Survivor Study)からの報告で、9月24日号のJAMAに掲載された。

 調査は、CCSSの参加者9535人について六つの項目(一般的な健康状態、精神的な健康状態、機能障害、運動の制約、癌に関係した痛み、癌に関係した心配・恐怖)について行われた。最初の4項目についてはコントロールグループ(2916人)についても調査が行われた。コントロールグループは、生存者の兄弟姉妹だった。

 いずれの領域についても参加者を対象にした簡単な質問が行われた。例えば、一般的な健康状態については、「あなたの健康状態は、非常によい、かなりよい、良い、まあまあ、よくないのどれですか?」で尋ね、また、精神状態の調査については、心理学的症状の自己報告法である、The 18-item Brief Symptom Inventory(BSI-18)を用いた。

 生存者の平均年齢は26.8歳(18歳から48歳)、癌と診断された年齢は平均10.0歳、(0.1歳から20.9歳)、診断された時点と質問に答えた時点までの期間の平均は17.4年、中間値は17.2年(6年から29年)。参加生存者のうち、47%が女性で、87.4%が白人だった。生存者に比べて、コントロールグループは、やや年齢が高く、男性がやや多く、高学歴で、収入も2万ドル以上の者が多く、何らかの医療保険に加入している人も多かった。

 結果、コントロールグループに比べて生存者のグループの方が、健康状態に何らかの支障があると報告した人が多かった。実に生存者の43.6%が、健康状態に何らかの支障があった。また、社会人口統計学上の項目で、健康状態に何らかの支障があることと関係しているものは、女性であること、学歴が低いこと、年収が2万ドル以下であることだった。このほか、白血病に比べて、骨癌、脳腫瘍、肉腫において健康に支障の出る危険性が高い傾向がうかがえたという。

 これらの結果からCCSSの研究者らは、「臨床医が、小児癌生存者をみる場合、特に女性で低学歴、低収入の者については、健康状態に何らかの支障をきたす危険性が大きいことに配慮しなければならない」とコメントしている。

 この論文のタイトルは「Health Status of Adult long?term Survivors of Childhood Cancer」。現在、こちらで論文を閲覧することができる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。
(千田柳子、医学リポーター)

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