2003.09.10

【SARS速報】 シンガポールで新規のSARS可能性例1人発生、25人に自宅隔離命令

 シンガポール保健省は9月9日、重症急性呼吸器症候群(SARS)の可能性例の患者が発生したことを正式に発表した。患者は現在、シンガポール総合病院(SGH)の感染症センターに隔離・収容されている。感染源を特定するための大規模な調査が行われているが、今のところ、ほかに患者は発生していない。念のため、密接な接触の可能性があった25人に対し、自宅隔離命令が出された。

 患者は中国系シンガポール人の27歳男性で、シンガポール国立大学微生物学研究所で西ナイルウイルスの研究に従事している博士課程修了(ポスト・ドクター)の学生だという。SARS感染地域への渡航歴や既知のSARS患者との接触歴はない。

 男性は、8月26日に大学に出勤した後、夜中に発熱があり、翌27日に開業医の診察を受け、抗生物質を処方されたが、熱が下がらないため、29日になってシンガポール総合病院の救急診療科を受診した。胸部X線撮影を受けたが異常はなく、ウイルス感染だと診断されて帰宅した。しかし、体調が悪く、9月1日に中医を受診した後、9月3日にシンガポール総合病院救急診療科を再受診し、そのまま入院した。

 入院後、発熱、筋肉痛、関節痛、乾性の咳などが現れたが、胸部X線所見には異常はなかった。しかし、9月8日になって、PCR検査と血清学的検査でSARS陽性だったため、感染症センターに隔離された。シンガポール国立大での再度の検査でも陽性になったため、保健省ではSARS可能性例として取り扱うことに決めた。検査を行った施設の業務の停止とスタッフの自宅待機を要請したほか、シンガポール総合病院の患者、訪問者と男性の家族など25人に自宅隔離命令が出された。

 シンガポール保健省は世界保健機関(WHO)に詳細な経過を報告した。従来ならば、この症例は可能性例として扱われたはずだが、7月5日のSARS流行鎮静化宣言後にWHOが決めた報告基準を満たしていないため、現時点ではWHOはSARSの再発生としては扱わないことになる。

 シンガポール保健省のプレスリリースはこちらまで。(中沢真也)

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