2003.09.09

日赤の汚染血液製剤の供給問題 本誌の質問から2週間後にようやく一部に回答

 今年6月から、各新聞紙上をにぎわせている日本赤十字社の汚染血液製剤の供給問題。日経メディカルでも9月号トレンドビュー「輸血後感染の原因は日赤の手抜き」でこの問題を取り上げた。

 これは、日赤が今年6月10日、約2年も前の輸血用血液製剤による感染事例を厚生労働省に報告し、同製剤の安全性向上に必要な遡及調査を怠っていた事実が判明したというもの。遡及調査とは、献血時に行われた血清学的検査もしくは核酸増幅検査(NAT、50検体分をまとめて実施)で何らかのウイルス感染が疑われた場合、当該献血者の過去の献血歴を調べ、もし献血歴があれば、以前の血液が汚染されていたか否かを保管用の血液検体で調べることだ。

 本誌では、その実態を明らかにするため、8月22日、日赤本社に対し、大きく分けて下記の5項目を質問した。

1.NATの検出限界への認識について
2.遡及調査の実施体制について
3.実際の輸血感染症事例について
4.輸血後感染症の事例収集の仕組みについて
5.今後、日赤の取る対策について

 日赤は当初、約1週間後に回答するとしていたが、2週間たってようやく、ごく一部の質問に対する回答が寄せられた。それは以下のような内容だ。

◆2.について:HIVの抗体陽性およびNAT陽性の場合は、すべて遡及調査を行ってきた。B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスについては、血清学的検査で陽性の場合、各血液センターの判断で遡及調査を実施していた。

◆3.について:日赤が輸血による感染の可能性が高いと考える症例数。HBV、HCV、HIV、細菌感染の順で
 1999年(NAT導入前) 18件、5件、2件、0件
 1999年(NAT導入後) 3件、0件、0件、0件
 2000年 5件、0件、0件、2件
 2001年 7件、0件、0件、0件
 2002年 8件、0件、0件、0件

◆5.について:(1)年内をめどに日赤独自の遡及調査のガイドライン策定(2)NATによる検出感度の向上(3)輸血用血液製剤の感染性因子に対し不活化処理を導入(4)医療機関での輸血後感染症に関する全数調査を計画(5)新鮮凍結血漿の半年間の貯留保管を開始(6)献血者からの献血後の健康情報の連絡を速やかに医療機関に情報提供

 いずれの回答からも、日赤の事実解明に対する積極的な姿勢はうかがえず、すべてを実行に移せるかは不明だ。しかも、残りの質問に対しては、「早急に回答する」にとどまった。日赤に真摯な反省の意思があるのか、疑問を禁じ得ない。
(小又理恵子、日経メディカル

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