2003.09.09

【視点】 下村氏退任で新時代迎えた中医協、気になる2004年改定への影響

 支払い側の立場で10年近く中央社会保険医療協議会の委員を務めた下村健氏の退任が公表された。既に話題になっていたことで驚きはない。1999年4月の閣議決定で、審議会などの委員には10年を超える期間継続して任命しないとされ、省庁再編後はそれを厳格に適用することなっていた。これが確かに退任の最大の理由だろう。

 しかし、2004年春の診療報酬改定に向けた議論が、これから本格化しようという矢先の大物委員の退任だけに、議論の行方に影響を与える可能性は否定できない。

 前回の改定は、下村氏と日本医師会副会長の糸氏英吉氏が、支払い側・診療側それぞれの顔だった。しかし、糸氏氏は昨年春に退任し、後任にはやはり日医副会長の青柳俊氏が就任している。支払い側からも人望が厚かった糸氏氏に続き、官僚OBで診療報酬に詳しい下村氏も退任が決まり、中医協は新たな時代を迎えたと言える。

 下村氏に代わる健保連出身の委員は、11日の常任理事会を経て公表される見通しだ。官僚OBではなく大企業の健保組合出身者が就く可能性が高いと見られる。先に触れた閣議決定で、所管省庁出身者の審議会委員への任命を抑制する方針が打ち出されているからだ。

 だれが就任するしろ、これまでの議論の流れや診療報酬制度について、下村氏ほど精通していることは期待しにくい。一方で、過去のしがらみに縛られない分、革新的な意見を打ち出してくることも考えられる。こうした人が委員になれば、経済誘導を強化したい厚生労働省にとっては好都合かもしれない。

 次の次の2006年改定では、一般病院への疾病別入院包括払い制の本格導入が予想される。2004年改定はそれへの地ならしが中心となり、あまり大規模なものではないという見方も根強い。ここで中医協が新時代を迎えたことは、本番に備えるための時間的な余裕ができたという意味では、いいことなのかもしれない。
(井上 俊明、日経ヘルスケア21編集委員)

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