2003.09.08

【日本心臓病学会速報】 厳格な生活指導がステント留置後のエッジ再狭窄を抑制、観察研究で示唆

 狭心症や急性心筋梗塞のため、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)治療を受けた患者122人を対象とした観察研究で、食事療法と運動療法を組み合わせた厳格な生活指導を受けた人では、ステント留置後の再狭窄率がほぼ3分の1になることがわかった。この抑制効果は主にステントのすぐ外側(エッジ)の再狭窄に対するもので、「これまで防ぐ手立てがなかった『エッジ再狭窄』に対する有望な予防策となるのでは」と研究グループはみている。研究結果は、9月8日の一般口演で発表された。

 この研究を行ったのは、国際親善総合病院(横浜市)循環器科の中山理一郎氏ら。PCI後にステントを初めて留置した(初回ステントの)冠動脈疾患患者に対し、厳格な生活指導の有無で、再狭窄率や再拡張施行率がどう変わるかを評価した。生活指導の骨子は、1.摂取カロリー制限:1日当たり標準体重×25kcal以下、2.摂取コレステロール量制限:1日200mg以下、3.運動:1日2回30分以上の速歩を週4〜5回−−というもの。なお、厳格指導群、通常管理群ともに、総コレステロール値が180mg/dl未満になるよう薬物療法も含めた治療を行い、喫煙者には禁煙を指導した。

 厳格指導群(57人)と通常管理群(65人)の平均年齢はいずれも65歳。前者の79%、後者の86%が男性だった。原疾患は通常管理群で急性心筋梗塞がやや多かったが有意差はなかった。高血圧、糖尿病、高脂血症は各15%前後、肥満は2割弱が合併。喫煙率は厳格指導群が9%、通常管理群が15%だった(有意差なし)。体格指数(BMI)の平均値は順に23.4と24.3、平均総コレステロール値は順に205mg/dl、202mg/dl、平均ヘモグロビンA1c(HbA1c)値は順に5.7%、6.1%(いずれも有意差なし)。PCI時の拡張圧やステント径、ステント長などにも両群で有意差はなかった。

 その結果、6カ月後の再狭窄発症率は、厳格指導群が12%と、通常管理群(34%)のおよそ3分の1になることが判明(p<0.01)。再狭窄の部位別にみると、ステント内再狭窄の発生率は変わらないが(順に8%、9%)、エッジ再狭窄の発生率は厳格指導群では5%と、通常管理群(17%)より有意に少ないことがわかった(p<0.05)。このため、通常管理群では5人に一人(20%)で再拡張が必要になったのに対し、厳格指導群では一人も再拡張を行わないで済んだという(p<0.01)。

 各種予後因子への効果という観点でも、厳格指導群では体重やBMI、総コレステロール値、トリグリセリド値、高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール値、HbA1c値の改善幅が通常管理群より大きい傾向があった。「なかでも体重やBMIの減少が(再狭窄抑制に)最も効いている」と中山氏はみる。

 以上から中山氏らは、「こうしたスーパー・メディカル・セラピー(超内科療法、厳格な生活指導)を行うことで、エッジ再狭窄の減少を通してステント再狭窄率を減らし、再血行再建率を改善できる可能性がある」と結論。ステント内再狭窄は薬剤放出ステントを使えばほぼ完全に抑えることができるが、エッジ再狭窄に対する有効な抑制策はまだないことを考えると、厳格な生活指導はステント留置患者に対して積極的に試みるべき治療法だと強調した。(内山郁子)

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