2003.09.04

【外来小児科学会速報】 hMPVによる小児の肺炎・気管支炎流行、山口県宇部市から報告

 SARS流行初期に原因ウイルスと疑われ、注目を集めたヒトメタニューモウイルス(hMPV)は、2001年にオランダで初めて分離された新しいウイルスで、世界的にもまだ報告が少ない。日本では、2003年4月から5月にかけ、山口県宇部市で小児気管支炎、気管支肺炎の流行があり、17症例からhMPVが検出された。8月30日の一般演題1で山口県宇部市の鈴木小児科医院院長の鈴木英太郎氏が報告した。

 2003年4月から5月に鈴木小児科医院を受診した急性気管支炎患者は463人、気管支肺炎が36人にのぼった。このうち、29人に対し、咽頭ぬぐい液と鼻汁を検体としてRT-PCR法を実施したところ、17人からhMPVが検出された。

 hMPVが検出された17症例では、発熱が38.0〜40.6度(3例を除き39度以上)と高く、発熱期間は1〜9日(平均3.6日)と長い。鼻汁と咳嗽が見られることも特徴的だという。RSウイルスの感染症状に似ていること、時期的にインフルエンザB型の感染が考えられるが、いずれも陰性、クラミジア、マイコプラズマなども検出されなかったという。年齢は3カ月〜10歳で、1歳未満は3例と少なく、1〜4歳が3分の2を占めていた。流行は春に入ってから始まっている。3月末から患者数が増え始め、5月初旬にピークに達し、6月まで続いており、鈴木氏は「国内でもhMPVの流行が発生していることが分かった」としている。

 国立感染症研究所が発行している病原微生物検出情報(IASR)2003年7月号では、広島県でインフルエンザウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルスなどが検出されなかった108人の小児のうち、RT-PCR法のよって47人からhMPVを検出した報告が掲載されている。患者数は3月から5月に急増しており、平均39.5度の発熱、30人(64%)が気管支炎・肺炎症状を呈する、1〜4歳が大半など、鈴木氏の報告と病像や流行時期が一致するうえ距離的にも近い。中国地方で大きな流行が発生していた可能性がありうるのではないだろうか。症状が比較的重いので、今後も国内での流行が続くようなら、発生動向の全国的な把握が必要になりそうだ。(中沢真也)

■ 参考文献 ■
「Human metapneumovirusを原因とする小児の急性呼吸器感染症の流行−広島県」(IASR2003年7月号)。全文はこちらまで。

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