2003.09.03

【癌治療の将来に関するアンケート調査】No.10 「緩和ケアに関して、医学生に早期教育をして欲しい」

 MedWaveはこの6月に「癌治療の将来に関するアンケート調査」を実施した。2003年米国臨床癌学会の速報サイトの開設に合わせて行ったもので、162人の調査協力者から回答が得られた。調査では日ごろ感じている癌治療全般に対する自由意見も募ったが、その中には、医療現場の悩みや課題が多く語られている。以下にシリーズで紹介する。

・癌治療に対する専門化がまだ不十分である。特に、制度面での整備が進んでいない。

・癌治療に限らず、治療現場においてインフォームドコンセントは大変重要かつ常識的なことであるが、医療従事者のマンパワーがギリギリの現場の事情を考えないような厚生労働省の施策には大変不満がある。

・癌化学療法はその専門医が関与すべきで、経験の少ない単独の科のみで行うべきではない。

・癌は早期に発見できれば治癒することができるともっと広報に努めるべきだ。

・緩和ケアに関して、医学生に早期教育をして欲しい。一般の人にも、もっと知って欲しい悪い知らせを上手に伝える方法を全ての医師に知って欲しい。

・患者の意思よりも、医療従事者の自己満足のみに陥っている場合が少なくない。

・患者の意思がなお、ほとんど反映されていない現状に憤りを覚える。

・化学療法や放射線治療の適応がない患者さんへのケアが難しい。また これらの治療を受けなかった人の方が 長く生存していることもあり、個々の癌の病理、遺伝学的な究明が望まれる。

・化学療法の副作用などを考慮したテーラーメードの化学療法が早急に広がること強く願っている。

・化学療法についてのインフォームドコンセントの問題は、都市部、地方の中核都市、過疎地でそれぞれ温度差があり、患者の知識レベルに応じて内容が変化することもあると感じている。理想は患者自身が自分の病気について理解しており、それに基づいて医師が情報を提供し、患者に治療法の選択権を与えることと思うが、地方の病院ではとてもそのような理想論だけを掲げているわけにはいかない状況である。

・一か八かの治療の場合や治癒の可能性が低い場合の患者の治療に対する様々な選択を示しえていない可能性が高い。

・もっと患者、家族の立場からの評価があるべきだと思う。

・まだまだ充分な情報提供をされておらず、患者さん側に選択の自由もない。

・特に化学療法を含む治療をする場合の全身管理は、通常の良性疾患とは異なるので、悪性腫瘍治療管理料なるものがあれば、看護料加算を含めた、特別加算がある方がよいと思われる。

・癌専門医と非専門医との間のコミュニケーションの不足と、それによる意識の格差が大きい。また癌専門医が少なすぎ、臨床腫瘍学を医療の中のみならず医学教育の中で確立する必要がある。悪性腫瘍の生物学的特性を知らずして、まともな癌治療など望めるはずもないはずなのに、現実では癌の何たるかも解らない医師が癌診療に携わらざるおう得ない状況にある。医師にとっても、特に患者にとっても不幸な状況が続いている。癌の予防、診断、内科的、外科的、放射線的、緩和的治療など、縦横に悪性腫瘍と取り組める医学上の診療体系が必要。

・がんセンターや成人病センターなどの癌特化した病院は、first line治療を行えばすぐにほかの病院を紹介し転院させてしまう。家族の気持ちはいかがなものか。確かに高回転で患者を回さないと、治療を受ける必要な患者が受けれないこともあるかもしれないが、少しやりすぎではないか。

・癌の治療分野だけ進歩しても、ケア部分が遅れており、ケアができる病院の数をもっと増やし、転院すべきところまで患者教育を促す必要があるのではないか。

・インフォームドコンセントというけれど、どこまで患者さんに真実を話すべきなのかいまだに迷うケースが多い。治療法の選択にしても、多くの場合は医師の誘導になっていると感じる。本当の意味で病気を真に理解し、ベストの治療法を選択することはおそらく現状では不可能だろう。知的水準で日本より特に優れているとは思えない欧米でインフォームドコンセントが当然のように言われているが、どこまで理解しているのかは相当疑問だ。

・「癌」という響きがかなり社会的に普通の言葉になってきたのは、中高年の死因のおよそ40%が癌死であることを考えればむしろ当然といえる。しかし患者さんや家族に対するインフォームドコンセントは今もって不十分であり、医師、看護師など診療側の恣意で患者さんの予後が左右される現状と思われる。医師を含む診療サイドは疾患そのものだけ(Mannual社会)でなく哲学、心理学、社会学など素養をもっと身につけた人間対人間(Human Relation、Rapport)としての対応が求められている。

・私は消化器外科医ですが、癌の化学療法は日常の外科診療の片手間にできる範囲を越え始めていると思います。枝葉末節の話になりますが、たとえば限られた病床の中で手術症例を優先することは当たり前であり、一般病院では十分な化学療法をするのは困難だと感じています。

・現在、遺伝子研究が非常に進むなど基礎医学分野での発展がめざましく、分子を標的とした治療が非常に注目されている。このような先端技術を臨床に応用する際、基礎研究者に医師サイドからの積極的なアプローチが必要ではないかと思う。また、基礎研究者においても医師にもっとアプローチをし、技術的な問題点及び臨床での問題点など積極的に議論を行うべきではないかと思う。

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