2003.09.02

■事件の発生から患者死亡までの経緯

時間経過】

■午前2時20分ごろ
・病院に患者Aが搬送。
・X医師は、血圧を測らせてくれないなど診察に非協力で泥酔しているとみなす。診察の結果から、血圧が低下し、患者はショック状態に陥っている可能性があると判断。外傷による急性出血性病変があればショック状態がさらに進行する可能性もあると考え、血管確保のための点滴と尿道カテ−テル挿入を行い、尿量をモニタ−の上、血液検査と胸腹部レントゲンの撮影を指示。

■午前2時30分ごろ
・X医師が問診と触診、聴診。レントゲン撮影。
・背部および左前胸部から左側腹部に圧痛、上腹部全体にわたる筋の圧痛、ごく軽度の腹膜刺激症状、口腔内に出血、左手背に切創、両足背と左膝部に擦過傷を認める。呼吸音、心音異常なし。瞳孔、対光反射も正常。脳圧亢進状態など頭部外傷を疑わせる所見、四肢麻痺もなし。患者が暴れたため、押さえつけて胸腹部のレントゲン撮影実施。

■午前2時40分ごろ
・X医師が救急外来の看護師に呼ばれる。
・患者が点滴の針を自分で抜去し、「トイレに行かせろ」と騒ぐ。安静を忠告したが聞き入れず。X医師は、バイタルサインが安定しているので、尿道カテ−テルを抜去。勝手に介助なしでトイレに入ったAを研修医と看護師がベッドに連れ戻し、X医師が押さえて、血管確保のための点滴施行。レントゲン撮影結果は鮮明でないが、X医師は、腹部写真上、気胸、血胸などを疑わせる異常所見はなく、緊急手術などの処置は不必要と判断。

■午前3時ごろ
・Aを経過観察室に搬送。
・X医師は救急外来の狭いベッドでは転落の危険性があると判断、経過観察室に搬送。患者が暴れたため、X医師が安静を説得。X医師は、RBC(赤血球)569×104/μR、Hb(ヘモグロビン)17.7g/Q、Ht(ヘマトクリット)51.9%と正常値よりも高く、Aに貧血はなく、出血もひどくないと判断。一方、WBC(白血球)の異常高値から組織挫滅の可能性、GOT、GPT、LDHの異常から肝損傷、筋挫滅を疑ったが、バイタルサインが安定しているので緊急手術の必要性はないとした。

■午前3時20分ごろ
・Aが検査拒否。
・X医師は、肝損傷の可能性があり手術要否の判断のため、超音波検査とCT検査の必要性を強く説明したが、Aは「いやだね、どうせ高い検査をするだろ。これだから病院はいやだ」などと強く拒否する。

■午前3時30分ごろ
・A が再度検査を拒否。
・X医師は他の患者の診察を終え、「先ほども言いましたように肝臓にダメ−ジがあるかもしれませんから、頼みますから、検査を受けてください」と再度説得したが、Aは「いやだね。いいから早く帰せ」と言う。

■午前4時ごろ
・A がX医師に暴行する。
・X医師は改めて説得したが、患者はX医師の胸ぐらをつかみ、しっかりした口調で「うるさいな。おれがどうなろうと大きなお世話だ」などと突き飛ばす。X医師は鎮静剤の使用を考えたが、意識喪失、血圧低下など患者の症状が悪化したり、患者の急変を見逃してしまう恐れがあり、使わない方がよいと判断。

■午前4時すぎ
・X 医師が家族への連絡を指示。
・X医師は家族に説得してもらう必要があると考え、看護師に家族を呼ぶように指示。患者には「家族が来るまではベッドで安静にしてください」とその場を離れ、看護師にバイタルサインの再検査を指示。

■午前4時10分ごろ
・Aが再度点滴を自分で抜去。
・Aは再度点滴を自分で抜去、「帰るからな。じゃますんなよ」と看護師の制止を振り切る。X医師は、Aが殴りかかりそうな勢いのため、看護師に警察官を呼ぶように指示。

■午前4時20分ごろ
・警察官到着。
・警察官来院。警察官も診察を受けるよう説得するが、Aは診療を受けることを拒否。

■午前4時30分ごろ
・Aの妹到着。
・Aの妹がX医師と一緒にAを説得。警察官が交通事故の事情聴取のため患者の連行を申し出る。X医師は「頭部外傷、肝損傷が疑われるので、できるだけ、早く他の病院に連れて行って診察を受けさせてほしい」と返答。

■午前5時ごろまで
・X医師がAの説得を続行。
・X医師がAの説得を続けたが、応じず。Aとその妹に対して「あなたが説得を拒否し、死んでもいいとまでおっしゃるなら、無理強いはできませんが、ここを去っても(中略)、食べたり、飲んだりしないで、できるだけ早く病院に行ってください」と話す。Aが病院を退去。

■午前5時ごろ
・Aとその妹はタクシーで警察署へ。
・タクシーの中で、Aは「内臓が破裂しそうだ、背中と胸が苦しい」と言う。Aは約20分離れた警察署に到着後、自分で中に入って行き、妹の制止も聞かず自動販売機からスポーツ飲料を買い、一口飲むと、突然大声を上げて倒れた。すぐ救急車が呼ばれたが、隊員が到着した時点で心停止であった。

■午前5時47分ごろ
・Aが病院に到着。
・Aは、再び元の病院に運ばれ、直ちに心臓蘇生の処置が取られたが、心機能は回復せず。

■午前6時25分
・死亡宣告。
・X医師はAの死因を脳挫傷とする死亡診断書を作成(ただし、1998年2月23日付の自動車損害賠償責任保険用診療報酬明細書では、傷病名を「胸部打撲、腹部打撲及び外傷性肝損傷の疑い」と記載)。

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