2003.09.02

【外来小児科学会速報】 「外来小児科医こそ医師のあるべき姿だ」

 「小児科医のイメージは、優しくてまじめ、お母さんの話をよく聞き、なるべく痛くしない。こうした姿勢こそ理想の医療人の姿にほかならない。外来(開業)小児科医にじかに接することで、医学生たちは『医の原点』を心に刻みつける」。8月30日午後の基調講演「外来小児科と医学教育」で、東北大学大学院小児病態学分野教授の飯沼一宇氏は、同大学で卒前教育の一環として実施している小児科診療所実習の意義深さを報告した。

 医学生の臨床実習では、1.発生頻度が高い症候・疾患、2.緊急を要する症候・疾患、3.死亡原因として頻度が高い症候・疾患を経験することが最低限必要とされる。ところが、大学病院の小児科が扱う患者は、悪性腫瘍など重篤な疾患であり、1と2の疾患は主として診療所の外来で取り扱う。このため、大学病院での実習だけでは不十分なのだという。

 そのため、東北大学では、小児科学通論として、全33回の講義に2回の「外来小児科学」を取り入れたほか、5年次に実施する各科2週間の臨床実習の小児科プログラムとして、1日を開業医診療所、市中病院での実習に割り当てている。

 こうした外来小児科の医師に接することの利点は、大学で得られない小児科プライマリケアの実習を補完するという意味だけではないと飯沼氏は指摘する。小児科医は、言葉遣いやふるまいが優しく、まじめに、分かるように何度でも話し、なるべく痛くしない、それでいて、子どもが泣いていても診察でき、注射もうまいなど技術も確か、変わり身の早い子どもが相手だけに即断・即決ができる−−といった特徴があるという。

 「常に保護者の理解を得ようとし、子どもの苦痛を最小限にしようと努力している診療所の小児科医の姿を目の当たりにすることは重要で、医学生たちの心に『医の原点』を刻みつける。期待される医療人の育成には欠かせない」と飯沼氏は強調していた。(中沢真也)

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