2003.09.01

【日本血液学会・臨床血液学会速報】 WT1遺伝子の発現量の定量、白血病再発の早期診断に有用

 白血病の腫瘍マーカーとして有望視されているWilms tumor gene(WT1)が、白血病再発の早期診断にも役立ちうるようだ。九州大学医学部検査部と病態制御内科の研究グループは、WT1遺伝子の発現量を定量することで、白血病再発の兆候である微少残存病変を検出できることから、早期診断に有用であるとする研究成果を報告した。白血病の再発は、形態学的な検出では限界がある微少残存病変が再増殖することで生じるが、この微少病変の検出が可能となれば、その臨床上の意義は少なくない。8月28日のポスターセッションで発表した。

 九州大学医学部検査部の辛島貴人氏らの研究グループは、WT1遺伝子検査の承諾を得た患者74人からのべ114件の骨髄検体を収集し、分析の対象とした。内訳は白血病41例(急性骨髄性白血病21例、急性リンパ芽球性白血病5例、骨髄異形成症候群4例、慢性骨髄球性白血病10例、成人T細胞白血病1例)、非白血病33例(悪性リンパ腫13例、多発性骨髄腫5例、その他15例)。

 定量はリアルタイムPCR定量法により、機器はLightCyclerTM Systemを使用している。その結果、白血病では1から88380単位と幅広く分布していたのに対し、非白血病は1から540単位だった(単位;WT1のmRNAコピー数×106/β−actinコピー数)。

 臨床参考範囲を算出したところ、カットオフ値は100単位と推定。これにもとづいて調べたところ、白血病の初発および再発例では82.4%までが100単位以上だったが、一方の非白血病では、91.2%もが100単位未満だった。

 研究グループでは、白血病2例について経時的にWT1遺伝子を測定しているが、その結果は病態の変化をよく捉えていたという。これらのことから、WT1遺伝子の定量は白血病の再発の早期診断だけでなく、治療効果の判定にも有用であることが示唆されたと結論付けている。(三和護)

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