2003.08.28

歯周病の治療が早産を予防か、無作為化試験で前向き結果

 歯周病の妊婦366人を対象とした米の無作為化介入試験で、歯石除去などの歯周病治療を受けた妊婦では、歯磨き指導のみを行った妊婦よりも早産率が低い傾向にあることがわかった。歯周病は早産の危険因子の一つだが、無作為化試験で歯周病治療に早産率を下げる可能性が示唆されたのは初めて。研究結果は、米国歯周病学会の学術誌であるJournal of Periodontology誌8月号に掲載された。

 複数の疫学研究で、歯周病がある妊婦は早産リスクが高いことが報告されている。しかし、歯周病が直接早産に関与しているのか、あるいは喫煙など歯周病と早産の両者に関与する因子のため、見かけ上相関が認められるのかはわかっていない。また、歯周病を治療した妊婦としなかった妊婦との比較研究で、歯周病を治療した妊婦の方が早産率が低いことも報告されているが、この試験では介入の無作為化が行われておらず、歯周病治療が早産率に及ぼす影響は明らかではなかった。

 米国Alabama大学歯学部と医学部の共同研究グループは、歯周病治療が早産率に与える影響を調べるため、歯周病がある妊婦を対象としたパイロット試験を計画。妊娠21〜25週の妊婦に歯周病の検査を行い、深さ3mm以上の歯周ポケットが3カ所以上ある場合を「歯周病あり」と診断、既知の早産危険因子で層別化後、無作為に3群に分けて歯周病治療の効果を調べた。

 比較した介入手段は、1.通常の歯科衛生指導+プラセボ、2.歯石除去と根面清掃(スケーリング・ルートプレーニング、SRP)による歯周病治療+プラセボ、3.SRPによる歯周病治療+抗菌薬のメトロニダゾール(わが国での商品名:フラジールなど、歯周病への適応なし)−−の3種類。試験に参加した366人の平均年齢は約22歳、8割強が黒人で、体格指数(BMI)は27前後。喫煙率は13%弱で、2割強が膣感染症を合併していた。このほか、723人については無介入で自然経過での早産率を調べた。

 その結果、歯科衛生指導を受けプラセボを服用した123人では6人(4.9%)が35週未満で出産したのに対し、SRP後にプラセボを服用した123人では35週未満の出産は一人(0.8%)だけで、統計学的な有意差はないものの早産率が8割低い傾向があることが判明(p=0.12)。SRPによる歯周病治療に、早産を抑制する可能性があることが示唆された。ちなみに、無介入群の早産率は6.3%だった。

 興味深いのは、SRPに薬物治療を併用した群(120人)の早産率が3.3%と、SRP単独群より高い傾向があったこと。研究グループは「理由は不明」としつつも、無症状の膣トリコモナス症の妊婦約600人を対象としたプラセボ対照試験で、メトロニダゾール服用群の早産率がプラセボ群より有意に高かったとの報告(NEJM;345,487,2001)があることを紹介する。

 研究グループは今回の結果を受け、妊婦1800人を対象に、歯科衛生指導とSRPとの2群を比較する無作為化大規模試験を行う予定だ。

 この論文のタイトルは、「Periodontal Disease and Preterm Birth: Results of a Pilot Intervention Study」。アブストラクトは、こちらまで。この件に関する米国歯周病学会のプレス・リリースは、こちらまで。(内山郁子)

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