2003.08.26

日本の生体肝移植に関するドナー統計がLancet誌で早期公開、12.4%に術後合併症が発生

 今年5月に臓器提供者(ドナー)が死亡したことで、日本でも生体肝移植のドナーに対する安全性に改めて関心が高まっているが、ドナーの安全性に焦点を当てた日本の生体肝移植成績に関する論文が、Lancet誌ホームページ上でこのほど早期公開された。日本肝移植研究会が取りまとめたもの。同研究会がドナー側に主眼を置いた移植成績を報告するのは初めてで、患者・家族に説明を行う上での貴重な資料となりそうだ。

 今回報告されたのは、2002年4月11日までに同研究会に登録された生体肝移植症例1852件、ドナー1853人に関するもの。わが国唯一のドナー死亡例の手術時期は昨年8月であり、この報告には含まれていない。うちドミノ移植の2次ドナーとなった12人を除く1841人について、詳細な検討を加えた。

 ドナーの平均年齢は37±10歳(17〜69歳、中央値:35歳)で、943人が男性、898人が女性。レシピエントとの続柄(レシピエントから見たドナー)は父親、母親が最も多く、次いで息子、兄弟、娘、姉妹の順となった。

 術後の合併症は、評価対象症例の12.4%(228人)に発生。合併症の発生率を提供した移植片(グラフト)の部位別にみると、右葉グラフト(19.0%)で左葉グラフト(12.0%)、外側区域グラフト(8.2%)などよりも有意に合併症発生率が高いことがわかった。ドナーの入院日数も、右葉グラフト(平均19.7日)で外側区域グラフト(14.2日)、左葉グラフト(14.0日)、左葉・尾状葉グラフト(16.3日)より有意に長かった。

 合併症の大半は消化器系のもので、うち胆汁瘻が73人(4%)と最多。なかでも右葉グラフト提供者(443人)では10.2%が術後に胆汁瘻を合併しており、近年ほぼ全例で右葉グラフト移植が行われている成人間生体肝移植の場合、胆汁瘻の予防が大きな課題であることが浮き彫りになった。

 なお、日本肝移植研究会は今年4月、「生体肝提供(ドナー)手術に関する指針」を公表した。この指針では、「世界的にはドナーの合併症あるいはドナー死亡例に関するデータの蓄積とその情報公開は必ずしも充分とはいえない」としつつも、生体肝提供手術に合併し得る危険性に関してドナーに十分説明するよう要請。レシピエントだけでなくドナーについても全国登録を行って、短期・長期の合併症や死亡に関するデータを集積し、指針を定期的に見直すとしている。

 この論文のタイトルは、「Operative morbidity of living liver donors in Japan」。同誌の購読者は、こちらから全文をダウンロードできる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。日本肝移植研究会の指針は、同研究会ホームページ上のこちらで公開されている。(内山郁子)

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