2003.08.25

欧州で心疾患予防の改訂ガイドラインが発表、脳卒中など含む「心血管疾患」を予防対象に

 欧州心臓学会(ESC)、欧州高血圧学会(ESH)など欧州の循環器・糖尿病関連8学会はこのほど、心血管疾患の予防に向けた欧州合同ガイドラインを発表した。1994年、1998年に続く三訂版で、予防の対象を冠動脈疾患(CHD)から心血管疾患(CVD)へと拡大。合同諮問委員会(Joint Task Force)に糖尿病関連の2学会が今回から新たに加わるなど、より臨床ニーズに対応した形となった。ガイドラインのサマリー版は、ESCの学術誌であるEuropean Heart Journal誌9月号に掲載される予定だ。

 この欧州版の心疾患予防ガイドラインは、心疾患の危険因子に基づいて将来の心疾患発症リスクを数字で判定、高リスク者により厳格なリスク管理策を提示するもの。血圧を縦軸、血清脂質を横軸に配したカラフルな「リスク判定チャート」は日本の専門医にもよく知られている。

 今改訂の最大の特徴は、予防対象とする疾患を、CHDからCVDへと拡大したこと。予防対象にCHDだけでなく脳卒中や末梢動脈硬化症も含め、同一の戦略で、広く動脈硬化性疾患の予防を目指すものとなった。
 
 また、リスクの層別化には、今回から新たに「SCOREチャート」(関連トピックス参照)が採用された。欧州の地域コホート研究データに基づき、CVDの10年死亡率を予測するリスク評価チャートで、米国のFramingham研究に基づいてCHDの10年発症率を算定する旧チャートと比べ、より欧州の実情に見合っているとの特徴がある。

 SCOREチャートは性別、年齢、喫煙の有無と居住地域のCVDリスクの高低別に、CVDによる10年予測死亡率を数字で示すもの。血圧値×総コレステロール値に加え、血圧値×動脈硬化指数(総コレステロール値と高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール値の比)によるリスク評価を行うことが特徴とされたが、後者の採用は今回のガイドラインでは見送られた模様だ。

 CVD既往者(二次予防)やCVDハイリスク者(一次予防)への介入戦略や、介入目標値には旧ガイドラインと大きな違いはないが、糖尿病合併者については新たに章を設け、より厳格な介入目標値が提示された。また、最新のエビデンスを反映して、CVD既往者にはアスピリンに加えスタチン系薬を処方するよう推奨されている。

 このガイドラインのタイトルは、「European guidelines on cardiovascular disease prevention in clinical practice」。ESCホームページ上では先週、前半の10ページに相当するサマリー版(Executive summary)が一時的に公開されていた。ガイドラインの正式発表は、ESC学会の初日である8月31日に行われる。ガイドラインの概要や公開予定などは、ESCホームページの「CVD Prevention」まで。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆2002.6.26 欧州の新リスク層別化チャート「SCORE」、CAD死亡率ベースでリスク評価にT-chol/HDL比を採用

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