2003.08.22

NSAIDは流産の危険性を高める、特に妊娠初期の服用は避けるべき

 妊娠中に非ステロイド系消炎鎮痛剤を服用した場合、流産のリスクが1.8倍に高まる。米国にカリフォルニア州におけるコホート研究の結果、こんな事実が明らかになった。特に、妊娠初期や1週間以上の長期服用では、5.6〜8.1倍と大幅にリスクが高まるという。研究グループは、「妊娠を望む女性は妊娠初期のアスピリンやNSAIDの服用は避けるべきだ」と警告している。研究結果は、British Medical Journal誌2003年8月16日号に掲載された。

 米Kaiser Permanente財団研究所のDe-Kun Li氏らの研究グループは、Kaiser Permanente財団の医療保険加入者に対するコホート研究の一環として、妊娠中の非ステロイド系消炎鎮痛剤の服用と流産の関係について調査した。

 Kaiser Permanente財団の医療保険加入者のうち、サンフランシスコと南サンフランシスコ地区在住で、1996年から1998年にかけて、尿検査で妊娠が確認された女性2729人のうち、文書で同意を得た1063人を対象とし、調査は面接法で実施した。本研究ではNSAIDとしてイブプロフェン、ナプロキセンだけを対象としており、アスピリン、アセトアミノフェンは別に分類している。アウトカムは妊娠20週以前の自然流産である(日本では妊娠22週以前を流産と定義している)。

 その結果、非ステロイド系消炎鎮痛剤とアスピリンのいずれも服用しなかった対象者では、980人中149人(15%)で流産が起きたのに対して、アスピリン以外のNSAIDを服用した53人中では13人(25%)と有意に多かった。相対リスクは1.8倍(95%信頼限界:1.0-3.2)だった。なかでも、妊娠1週間以内の服用者では12人中6人(50%)で相対リスクは5.6(95%信頼限界:2.3-13.7)、1週間以上の服用者では6人中4人(67%)で相対リスクは8.1(95%信頼限界:2.8-23.4)と、いずれも有意に高く、流産の危険性がさらに高くなることが明らかになった。

 この傾向はアスピリンでも同様で、服用者22人中5人(23%)が流産した。ただし、相対リスクは1.6倍(95%信頼限界:0.6-4.1)と他のNSAIDに比べてやや関係は弱く、有意差はなかった。妊娠1週間以内の服用と1週間以上の服用における相対リスクは、それぞれ、4.3倍、3.0倍で有意に高かった。

 一方、アセトアミノフェンでは、服用者の流産は172人中24人(14%)で相対リスクは1.2(95%信頼限界:0.8-1.8)、妊娠1週間以内の服用と1週間以上の服用でも相対リスクはそれぞれ、0.8倍、0.7倍で、すべて有意差はなかった。

 筆者は、本研究がNSAIDと流産の関係について特化したものではなく、確認のためにはさらなる調査研究が必要としているが、「いずれにせよ、妊娠を望んでいる女性本人や医師はNSAIDの危険性を認知し、受胎前後の服用は避けるべきだ」と警告している。現在、日本国内で販売されている医療用、および市販品のアスピリンやその他のNSAIDの添付文書では、妊娠時の服用について記載のないものや、妊娠後期の服用だけを禁忌としているが多い。本研究の調査結果は、こうした現状に警鐘を鳴らすものと言えそうだ。

 本論文の原題は、「Exposure to non-steroidal anti-inflammatory drugs during pregnancy and risk of miscarriage: population based cohort study」。論文の全文はこちらまで。(中沢真也)

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