2003.07.24

「クロレラ」にワクチンのアジュバント効果はあるか? プラセボ対照二重盲検試験結果が発表

 わが国では古くからの愛用者も多い健康食品「クロレラ」の、免疫力増強効果を調べるプラセボ対照二重盲検試験結果が、Canadian Medical Association Journal(CMAJ)誌7月22日号に掲載された。50歳以上の男女124人を対象に、インフルエンザワクチンの接種後に抗体価がどれだけ上がるかで評価したところ、有意な差は認められなかったという。

 この研究を行ったのは、カナダDalhousie大学小児科のScott A. Halperin氏ら。同氏らは以前からクロレラ(Chlorella pyrenoidosa、日本で販売されているクロレラ食品材料と同じ品種)抽出物の持つ免疫力増強効果に注目しており、カナダでクロレラ製品を製造・販売しているカナダOcean Nutrition Canada社(ONC社)と共同で研究開発を進めていた。

 Halperin氏らの行った動物実験で、ONC社製のクロレラ製剤に免疫賦活作用が期待できることが判明。一般に高齢になると、ワクチンを打っても十分な抗体価上昇が得られないことが多いが、そのような人向けの経口アジュバントとしてクロレラ製剤を開発できると考え、プラセボ対照試験で効果を確かめることにした。

 試験設計は、プラセボ、クロレラ200mg製剤、クロレラ400mg製剤の3群に、1対1対1の割合で対象者を割り付けるもの。試験は6週間にわたるもので、対象者は最初の4週間、割り付けられた薬を服用する。そして、3週目に3価のインフルエンザワクチンを接種、6週目に抗体価を評価して、抗体価が1週目より4倍以上増加した場合を「効果あり」と判定した。参加者の平均年齢は58歳で、3割強が女性だった。

 その結果、3種類の抗原に対して「効果」が得られた人の割合は、プラセボ群(42人)が抗原により17.9〜28.2%となり、一方のクロレラ200mg群(41人、11.1〜22.2%)、クロレラ400mg群(40人、19.0〜21.4%)はともに、プラセボ群と抗体価上昇率に差がないことが判明。用量依存性も認められず、ワクチンの接種3週前から1週後までクロレラ製剤を服用しても、1回接種で十分に抗体価を上げる効果は期待薄であることがわかった。

 次に研究グループは、参加者を50〜55歳と55歳超とに分けて、クロレラ製剤の効果を評価した。すると、55歳以下の若年群では、400mg服用者で、3抗原のうち二つについてプラセボ服用者より抗体価が4倍以上に上昇した人が有意に多くなった。一方、55歳超の高齢群では、プラセボ服用者との有意差は認められなかった。なお、副作用にプラセボ群との差はなかった。

 年齢別解析では若年群でのみ一定の効果が認められた点について、Halperin氏らはこの結果が予想に反するものだったと述べる。一般に高齢者の方が免疫力が低いため、免疫増強効果は高齢者の方が現れやすいと考えられるためだ。

 Halperin氏らは、「追加研究で効果が支持されれば、クロレラ製剤をワクチンの効果増強剤(ブースター)として使用できる可能性は残る」と考察しているが、少なくとも今回行われた試験設計通りの飲み方では、臨床的に意味のある効果はないと言わざるを得ない。適切な投与量・投与期間の設定、さらに高齢者で効果がみられない理由の解明なども含め、前途には課題が山積していると言えそうだ。

 この論文のタイトルは、「Safety and immunoenhancing effect of a Chlorella-derived dietary supplement in healthy adults undergoing influenza vaccination: randomized, double-blind, placebo-controlled trial」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(内山郁子)

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