2003.07.24

喫煙は「たちの悪い」前立腺癌を増やす−−米研究

 前立腺癌にかかった中高年男性と、前立腺癌がない同年齢層の男性とを比較した米国の症例対照研究で、喫煙に前立腺癌の発症リスクだけでなく、より悪性度が高い前立腺癌をも増やす恐れがあることがわかった。喫煙者では非喫煙者より1.4倍前立腺癌になりやすく、しかも、ヘビースモーカーは悪性の前立腺癌に2倍なりやすい計算になるという。研究結果は、米国癌学会(AACR)の学術誌であるCancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌7月号に掲載された。

 この研究を行ったのは、米国Washington大学泌尿器科のLora A. Plaskon氏ら。同氏らは、Washington州北西部のKing地区の住民から、1993〜1996年に生検で前立腺癌であることが確認された40〜64歳の男性753人と、同地区に住む同年齢層の男性で、前立腺癌にかかっていない703人を抽出。両群を比較して、喫煙が前立腺癌の発症や悪性度に与える影響を検討した。

 両群とも現喫煙者は16%前後で、非喫煙者は4割弱、過去に喫煙経験がある禁煙者は半数弱だったが、非喫煙者と比べた場合、喫煙者では前立腺癌の発症オッズ比が1.4(95%信頼区間:1.0〜2.0)になることが判明。オッズ比は喫煙年数などと正の相関があり、1日1箱を40年間、あるいは1日2箱を20年間など、喫煙指数(1日の喫煙箱数と喫煙年数を乗じた数)が40以上のヘビースモーカー(禁煙者含む)では、このオッズ比が1.6(同:1.1〜2.2)と有意に高くなった。

 次に研究グループは、前立腺癌の病理学的悪性度を反映するGleasonスコアが7以下、あるいは腫瘍が限局性の場合を「非進行癌」、Gleasonスコアが8以上、あるいは腫瘍が浸潤性・転移性の場合を「進行癌」として、喫煙との関連を評価した。

 すると、「進行癌」にかかるオッズ比は、喫煙指数が40以上のヘビースモーカーで2.0(同:1.3〜3.1)と、有意に高くなることが判明。喫煙には前立腺癌の発症リスクを高めるだけでなく、癌の悪性度も高める作用もあることが示唆された。

 一方、たばこを止めてからの年数で見ると、現喫煙者より禁煙者の方が前立腺癌の発症率は低いが、たばこを止めて20年間は非喫煙者よりも高い傾向が保たれる。結局、20年以上たばこを止めている人で、ようやく前立腺癌の発症率は非喫煙者と変わらないとの結果になった。

 喫煙が前立腺癌の発症率を高める機序は、喫煙者で血中の男性ホルモンレベルが高く、女性ホルモンレベルが低いためではないかと考えられている。“禁煙効果”が現れるのに20年はかかることを考えると、前立腺癌が心配な人は、できるだけ早くたばこと手を切った方が良いと言えそうだ。

 この論文のタイトルは、「Cigarette Smoking and Risk of Prostate Cancer in Middle-Aged Men」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 参考トピックス ■
◆ 2003.6.26 「プロスカー」に前立腺癌予防効果、NEJM誌で原著論文が早期公開−−PCPT試験より

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