2003.07.15

COPDの国際ガイドライン「GOLD」が改訂、重症度分類を細分化しステップ形式の薬物療法戦略を導入

 世界保健機関(WHO)と米国国立心肺血液研究所(NHLBI)の協力の下に作成された、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の国際ガイドライン「GOLD」(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)が、このほど改訂された。重症度分類を従来の4段階(ステージ0〜3)から5段階(ステージ0〜4)へと細分化、1段階重症度が上がるごとに新たな治療を追加する「ステップ形式」の介入戦略を導入するなど、より実践的な内容となった。

 「GOLD」は2001年4月に発表されたCOPDの国際ガイドラインで、喘息の国際ガイドライン「GINA」(Global Initiative for Asthma)と対を成すもの。COPDを初めて炎症性疾患と定義、慢性の咳と痰はあるが呼吸機能は正常範囲の人もCOPDの有リスク者として管理対象とするなど、従来の概念を一新するガイドラインとして注目を集めた。

 今回の改訂版(2003年アップデート)は、2000年6月から2003年3月までに発表された臨床研究を網羅的にレビュー、最新の知見を反映したもの。重症度分類を細分化し、重症度に応じたステップ形式の介入戦略を提示した。

 重症度分類は、有リスク者を「ステージ0」、努力性呼気の1秒量(FEV1)が80%以上の人を「ステージ1」(軽症)とする点は旧ガイドラインと同じだが、旧ガイドラインの「ステージ2」を二つに分割。FEV1が80〜50%(旧ガイドラインのステージ2a)を「ステージ2」(中等症)、FEV1が50〜30%(同:ステージ2b)を「ステージ3」(重症)とし、旧ガイドラインの「ステージ3」(FEV1が30%未満)を「ステージ4」(最重症)と定義し直した。

 介入はステップ形式で、ステージ0(有リスク)から禁煙など危険因子の除去とインフルエンザワクチンの接種を開始。ステージ1(軽症)では短時間作動型気管支拡張薬の頓用を追加する。ステージ2(中等症)からは、定期的な長時間作動型気管支拡張薬の吸入と呼吸リハビリテーションを開始、ステージ3(重症)では、急性増悪を繰り返す場合は吸入ステロイド薬を追加する。ステージ4(最重症)にまで進行した場合、慢性呼吸不全がある場合は酸素療法を開始、外科療法も考慮するとの戦略を提示している。

 薬物療法における旧ガイドラインからの変更点は、ステージ2(中等症)から長時間作動型の気管支拡張薬(関連トピックス参照)を使用するよう推奨したこと。推奨薬剤として、新規の長時間作動型気管支拡張薬であるムスカリン受容体拮抗薬のチオトロピウム(関連トピックス参照)を含めた。一方、旧ガイドラインでは中等症からの使用が推奨されていた吸入ステロイド(関連トピックス参照)は、より重症の患者で効果が明確なことから、開始段階を一段階遅らせてステージ3(重症)からの使用を推奨している。

 呼吸リハビリテーションに関しては、実施期間の目安を初めて提示。最低2カ月間、リハビリテーションを行うよう推奨した。急性増悪時には、アシドーシスがなければ入院加療以外に看護師による在宅ケアも可能であるとしている。

 さらに、1.COPDの急性増悪における抗菌薬療法、2.薬物療法のステップアップ・ステップダウン、3.重症COPDの外科療法(関連トピックス参照)における麻酔−−の3項目に関しては、検討を重ねて2004年改訂版に何らかの勧告を導入する予定だ。

 このガイドラインのタイトルは、「GOLD Workshop Report: Updated 2003」。現在、こちらから全文をダウンロードできる。なお、GOLD委員会ではガイドラインの改訂点に焦点を当てたニューズレターを8月に発行する予定で、「GOLDのホームページ」から購読を申し込める。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.4.17 国内初の長時間作動型吸入β刺激薬が承認、効能にCOPDも
◆ 2002.9.19 抗コリン薬チオトロピウムはCOPD患者の肺機能低下を軽減するか、大規模臨床試験「UPLIFT」が近く開始
◆ 2003.5.28 吸入ステロイドとβ刺激薬の合剤「セレタイド」が欧州でCOPDに適応拡大
◆ 2003.5.26 肺気腫の外科療法、保存療法と長期生存率に差なし−−NETT研究

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