2003.07.14

術前診察担当と手術担当の麻酔科医は一人であるべきか

 手術前の患者診察は、実際の手術に臨む麻酔科医が担当すべきなのか。2002年にイタリアで実施された麻酔科医に対するアンケート結果によれば、少なくともイタリアでは、麻酔科医の理想と現実がまったく逆転しているという実態が明らかになっている。イタリアの麻酔科・ICU研究ネットワークGiViTIグループのBruno Simini氏らの研究で、British Medical Journal2003年7月12日号に掲載された。

 Simini氏らの研究グループは2002年6月に二つのシナリオを提示し、「あなたが所属している医療機関ではどちらを採用しているか」「あなたはどちらを好むか」を尋ねるアンケートを送付した。好みについては理由を最低一つ記入するように求めた。二つのシナリオは、シナリオAが「術前診察と手術を一人の麻酔科医が担当する」、シナリオBが「術前診察と手術は別の医師が担当する」というもの。

 麻酔科医(注)に対し262通を送付、198通の有効回答が寄せられた。それによると、好みについては、シナリオAが81.3%、シナリオBが10.1%だった。ところが、麻酔科医が属する医療機関99施設のうち、実に89施設(89.9%)はシナリオBを採用しており、シナリオAを採用していたのは10施設(10.1%)に過ぎなかった。

 理由についての記述を見ると、シナリオAを好むとした回答の理由としては、「医師と患者の関係が成立する」「術前検査や投薬の指示は手術に立ち会う麻酔科医の実施がベスト」など、臨床上の理由を挙げるものが多かった。これに対して、シナリオBを選んだ回答では、「責任を分担できる」「統一的な管理方式を採用しているから問題ない」などと管理上の理由が多くあがる傾向があった。

 著者らは、イタリアの多くの医療機関で行われているシナリオBの体制は、臨床上の要請に反するとみなしている。日本や他の国々ではどちらのシナリオを採用しているのか。同様の調査を実施してみるべきだろう。

 本論文の原題は、「Should same anaesthetist do preoperative anaesthetic visit and give subsequent anaesthetic? Questionnaire survey of anaesthetists」、全文はこちらまで。(中沢真也)

〈注)著者も所属する麻酔・ICU研究ネットワークであるGiviTI(Gruppo italiano per la Valutazione degli interventi in Terapia Intensiva)グループの「anaesthetist」が対象。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. まずLAMAから?それともLABAから? プライマリケア医のための喘息・COPD入門 FBシェア数:129
  2. なぜ、われわれは手洗いをしないのか?(その2) 忽那賢志の「感染症相談室」 FBシェア数:57
  3. NCDで変わり始めた外科手術 リポート◎登録開始から5年、800万を超える外科症例データが集積 FBシェア数:35
  4. 抗体を持つ研修医が発症した「修飾麻疹」とは? パンデミックに挑む:トピックス FBシェア数:282
  5. 81歳男性。側腹部の膨隆 日経メディクイズ●救急
  6. 地域枠義務放棄の医師採用は研修補助金を減額 臨床研修病院はマッチング時に「地域枠医師」かどうかの確認を FBシェア数:221
  7. 63歳女性。手指と足首の痛みを伴う皮疹 日経メディクイズ●皮膚
  8. 国主導の『抗微生物薬適正使用の手引き』公表へ 厚生科学審議会感染症部会で了承 FBシェア数:87
  9. 13歳女児。繰り返す嘔吐 日経メディクイズ●小児
  10. 今年の大学医学部入試の問題から(その1) 松原好之の「子どもを医学部に入れよう!」 FBシェア数:1