2003.07.14

レッドクローバーサプリ、のぼせなど更年期障害への効果でプラセボとの有意差見られず

 閉経後の女性を悩ませる「のぼせ」に効果があるとして欧米で好んで服用されているイソフラボン・サプリメントにプラセボに対する有意差はなかった−−。米国で実施された大規模臨床試験で、こんな結果が報告された。ホルモン補充療法の臨床試験で乳癌や心血管疾患のリスク増加が確認され、より安全で効果がある代替療法として、イソフラボンに関心が高まっているだけに、閉経後の女性には気になるところだ。本論文は、米国医師会誌Journal of American Medical Association(JAMA)2003年7月9日号に掲載された。なお、この結果に対して、治験対象となったサプリメントのメーカーは、さっそく反論をホームページに掲載している。

 更年期障害の治療法として期待されたホルモン補充療法の臨床試験で、乳癌や心血管疾患のリスク増大が確認されたため、よりマイルドで安全な治療法に対する期待が高まっている。「のぼせ」は、更年期障害の典型的症状の一つだが、アジア人女性では10〜20%と少なく、白人女性では70〜80%と高率に起きる。このため、アジア人が好む大豆食品に含まれる植物エストロジェンのイソフラボンに予防効果があるのではないかという期待から、米国などでは大豆やマメ科植物のレッドクローバー由来のサプリメントが好まれている。

 California大学San Francisco校医学部のJeffrey A. Tice氏らの研究グループは、レッドクローバー由来のイソフラボン・サプリメント2製品について、更年期障害に対する効果と安全性を確認する無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。

 新聞とラジオ広告によって募集した45〜60歳の閉経後女性のうち、週に35回以上ののぼせ症状があり、卵胞刺激ホルモン(FSH)が30mIU/ml以上で、参加前に無月経、イソフラボン摂取がないなどの条件を満たした252人を臨床試験の参加者とした。参加者は、ランダム化したうえで、レッドクローバー抽出イソフラボン・サプリメントである「Promensil」投与群(n=84)、同じくレッドクローバー抽出イソフラボン・サプリメントである「Rimostil」投与群(n=83)とプラセボ群(n=85)の3群に分け、1日1回、12週間服用を続けた。PromensilとRemostilはいずれもオーストラリアNovogen社の製品で、Promensilには1錠あたり平均41mg、Rimostilには1錠当たり平均28.6mgのイソフラボンが含まれており、参加者は1日量として2錠を服用した。

 その結果、12週間後の「のぼせ」の回数は、Promensil投与群で41%、Remostil投与群で34%、プラセボ投与群で36%と、いずれも有意に減少したが、3群間に有意差は見られなかった。ただし、Promensilはプラセボ群に対して、有意に早くのぼせ回数が減少した。Remostilではプラセボ群に対してのぼせ回数減少について有意差は見られなかった。期間中の有害事象としては、風邪または上気道感染、頭痛、吐き気などが見られたが、サプリメント投与群とプラセボ群に有意差は見られなかったという。

 プラセボ群に対する有意差が見られなかったとはいえ、12週間の試験後、参加者ののぼせ回数は、平均8回程度から平均5回程度へと有意に少なくなった。この点について著者は、この種の治験におけるプラセボ対照試験の重要性を強調しているが、本論文で俎上に上った2種類のサプリメントのメーカーであるNovogen社は、本論文掲載号の出版直後の7月10日、さっそくホームページに「本論文では、プラセボ群の効果が異常に大き過ぎる」との反論を掲載している。ただし、反論の内容は、過去の文献において効果ありとされたという指摘にとどまっている。

 本論文の原題は、「Phytoestrogen Supplements for the Treatment of Hot Flashes:The Isoflavone Clover Extract(ICE)Study」。アブストラクトはこちらまで

 本論文に対するNovogen社の反論を掲載したプレスリリースはこちらまで。(中沢真也)

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