2003.06.24

【日本DDS学会速報】 徐放性に優れたレシチン/PLGA、PLAナノスフェア製剤を開発

 炎症部位などに集積し、ステロイドや抗菌剤などを数日間以上かけて徐々に放出するDDS製剤の開発が進められている。粒子の直径を細かく設定できるので静脈注射による投与が可能、水に滴下して作成するので、工業化も比較的容易だという。東京慈恵会医科大学DDS研究所の石原務氏が、6月20日のポスターセッションで発表した。

 石原氏らの研究グループが作成したのは、乳酸グリコール酸重合体(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)に薬剤を封入し、さらにレシチンでコートしたナノスフェア製剤。PLGA、PLAで封入することで、血中での薬物の漏れを防ぎ、組織に到達してからも徐放性があるので、ワンショットの投与でも薬効の持続時間を長くすることができ、患者の負担を減らせるという。さらにレシチンで表面をコートすることで、粒子径を制御できるうえ、炎症部位などに集積するため、病巣へのターゲティングが可能になる利点がある。

 封入する薬剤は疎水性のものだけでなく、リン酸基、あるいはカルボキシル基を有する一部の水溶性化合物なら亜鉛イオンなどを作用させて疎水化することで封入が可能だという。製剤は溶媒拡散法と呼ばれる方法で作成する。概要は、薬剤とPLGA(またはPLA)をアセトンに溶解し、酢酸亜鉛を加えて水に滴下し、さらにレシチンを加えてナノスフェアを形成する。

 ステロイドのリン酸ベタメタゾンを封入したナノスフェアを作成した実験では、in vitroで10日経過後の薬剤の累積放出率が、PLGA製剤で50〜60%、PLA製剤で10〜30%、20日後でもPLGA製剤で60〜95%、PLA製剤で20〜40%と長期間にわたる徐放性が確認された。PLGAやPLAの分子量が大きいほど放出は遅く、調整によって徐放性を制御可能だという。石原氏らは、製剤化できる薬剤としては、ステロイド、プロスタノイド、抗菌薬などが候補としている。分子量は1000以下のペプチド程度までで、インスリンなど分子量が数千以上の大きな物質の封入には適さない。封入できる薬剤の重量比はおよそ8%で、他は表面のレシチンが10%、亜鉛が3%で残りがPLA、またはPLGAだという。(中沢真也)

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