2003.06.11

「早い思春期」は乳癌のリスク?、米の双子研究が示唆

 乳癌にかかりやすい体質を持つ一卵性の双子では、先に思春期を迎えた方が、乳癌と先に診断される確率が高い−−。米国で行われた「双子研究」から、こんな興味深いデータが得られた。乳癌になる時期と、妊娠や閉経の時期とには関連がみられず、研究グループは「少女の頃に、より早く女性ホルモンにさらされると、乳癌を早く発症しやすくなるのでは」とみている。研究結果は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌6月5日号に掲載された。

 双子は親から受け継いだ遺伝的な性質が似ており、なかでも一卵性の双子では、こうした遺伝的素因が全く同じになる。この特性を利用したのが「双子研究」と呼ばれる研究。「癌になりやすい体質」のような、同じ遺伝的素因を持った二人を比べることで、どのような後天的な要因(環境因子)が癌の発症につながるかを調べることができる。

 米国では1980〜1991年にかけて、癌や様々な慢性疾患にかかった双子に協力してもらい、色々な病気の発症につながる環境因子を調べようという一大キャンペーン活動が行われた。研究に協力してくれる双子の募集に応え、1万7245組もの双子がこの研究に参加。うち6325組は女性同士の双子で、約3分の1が乳癌にかかっていた。

 米国Southern California大学附属Keck医科大学予防医学部門のAnn S. Hamilton氏らは、このキャンペーンで見付かった「一方、あるいは二人ともが乳癌にかかった女性同士の双子」に、乳癌に的を絞った研究に協力してくれるよう依頼。快諾してくれた人に、後から見付かった乳癌の双子を加え、総計1811組について胸のふくらみや初経など思春期が訪れた時期や、初めて妊娠した時期、閉経の時期などを調べた。

 双子のうち759組は二卵性、1052組は一卵性。乳癌の家族歴があったり、乳癌が両側にできた人では、乳癌にかかりやすい体質を持っている(疾患親和性が高い)と考えられているが、二卵性双子の1割、一卵性双子の2割が、こうした体質を持っていた。

 その結果、疾患親和性が高くない双子では、一卵性、二卵性を問わず、初経や初産の時期、閉経の時期など、女性ホルモン量が大きく変動するタイミングと乳癌の発症時期には何の関連もないことが判明。ところが疾患親和性が高い双子では、一卵性双子でのみ、先に思春期を迎えた方が先に乳癌になりやすい(確率5.4倍)ことがわかった。一方、初産や閉経の時期と「どちらが先に乳癌になるか」には、何の関連もみられなかった。

 乳癌の発症には女性ホルモンが深く関わっており、乳癌に極めてなりやすい体質の人が、30歳過ぎから女性ホルモンをブロックする薬を飲むと乳癌にかかる確率を半減できることが知られている。研究グループは、こうした「大人になってからの女性ホルモンの影響」のほかに、思春期を迎えた時期が早いかどうか、つまり少女の頃の女性ホルモンの影響も、乳癌の発症に関与しているのではと考察している。

 この論文のタイトルは、「Puberty and Genetic Susceptibility to Breast Cancer in a Case?Control Study in Twins」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

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